感染症どころではない

投稿日時 : 2020/10/19 18:00

日本でもわりと大きく報道されたパリ郊外で起こった教師にたいするテロ事件。フランスでは日曜日に、パリだけではなく、全国で追悼の集まりがあった。追悼（Hommage）ではあるが、教育の自由、表現の自由を訴え、テロやイスラム過激主義への反対を表明するための集まりだった。

メディアでもこの週末から今朝もこの話題が多く、様々な視点から語られている。あまりにも問題点が多く、様々な問題が絡んでいる。まずは、伝統的なイスラム教とはまったくことなる現代の「Islamisme：イスラミズム」という原理主義・過激派の問題。これがフランスでは移民問題、パリ郊外の生活環境の問題ともからむ。さらには風刺もフランスの文化・精神だというほど、強く表現の自由を謳うフランス。そして教育現場・教育者の絶対的自由もくわわる。さらには、学校、教育者の安全についての問題。そしてSNSの問題も、フランスでは、ユーザーによるプライバシーの侵害とそれを結果的に許してしまうSNSプラットフォームの体制とその規制が論じられている。

フランスでは秋のバカンスシーズンだが、バカンスあけの学校では、この事件をうけて、表現の自由についての授業が全国で一斉におこわ慣れることになるという。

日本からみると、外国で起こった（またもや）恐ろしい事件の一つで終わってしまうが、この事件は、現代のフランスが抱える様々な日常的な問題が交差しているところで起こった事件であって、コロナ禍であっても人びとはマスクをしても密な状態で集まり、教育現場が一斉に素早く反応するほどの出来事だ。