フランスは三つある

投稿日時 : 2020/02/04 18:30

「亀裂が入った国で、フランス人は統一を求めている」
カトリック系新聞 La Croixのサイトより。


フランスのシンクタンク、Destin Commun(共通の運命)は、本日、4000人のフランス人に面接をした調査結果を発表した。

これは現在のフランス人の個人的な生活や社会的な生活をどう考えているかを調べたもので、昨年亡くなったジャック・シラク元大統領の在任中くらいから使われるようになった「Fracture (sociale):(社会的)分断・分裂」という概念は、それ以来も同じで、この調査では、開かれた社会 vs 閉ざされた社会という分断は、57%のフランス人が「フランスのアイデンティティは失われつつある」と考えていることや、54%がフランスは移民にたいして国境を閉鎖すべきと考えていることにもみられ、社会からの疎外 vs 社会への同化という軸でも、85%のフランス人が政治家は「自分のような考え方の人間のことは考えていない」と思い、わずが19%だけが、政治家は「自分と同じ価値観だ」としている。


この調査では、フランスを大きく三つのカテゴリに分けた:
1)France tranquille(穏やかなフランス)
30%。現在の社会に満足しており、組織にも信頼を置いている人びと。
2)France polémique(批評・批判的なフランス)
32%。右派であっても左派であっても、全く正反対の理由であれ、体制に意義を唱える人びと。
3)France des oubliés(忘れられたフランス)
38%。程度の差はあれ、社会とは切り離(さ)れた人びと。

分析したシンクタンクによると、この第三のグループの動向が心配とし、三つのグループは交わることなくそれぞれが進化しているという。

ただし、調査によれば、フランス人の83%は、「お互いに助け合い、共に問題に立ち向かうべき」という信念をもっており、61%はフランス社会の分断や分裂は、「乗り越えることができる」と考えているという結果がでている。

この調査で興味深いのは、第二のカテゴリの人びとは、ジレ・ジョーヌの運動だったり、現在の年金制度改革反対のストライキをやっている人びとであり、メディアが大きく取り上げるのはこうしたフランス(ばかり)だということ。穏やかなフランス、さらには忘れられたフランスの話題はその陰に潜んでいる。