中国のウィルスとアフリカの虫

投稿日時 : 2020/02/05 18:00

「バッタが西アフリカを脅かす」
経済紙 Les Echosのサイトより。

コロナウィルスの話題とならんで、フランスでこ数日取り上げられているのは、西アフリカを中心に大量発生しているバッタの脅威だ。

世界でも貧しい地域で発生しているこの異常な自然現象は、現地住民の食糧不足に拍車をかけ、国連機関も警鐘を鳴らしており、日本でも衝撃的な映像が伝えられている。が、オーストラリアの森林火災と同様、日本では衝撃的な映像という程度で、大きな環境問題としては取り上げられているようには感じられない。

フランスとドイツが共同運営するテレビ局ARTEの子ども向けニュースでは、このニュースを衝撃的な映像だけではなく、地理的な拡がりを見せ、インドにまで到達していると紹介。さらに、食糧不足が問題とされているが、普段でも食糧不足の問題があるイエメンでは逆に、バッタは「貧困層の肉」として重宝されているとも紹介し、問題を多角的に紹介している。

アフリカの食糧問題は、異常気象や気候変動による干ばつやこうした虫の大量発生と結びつけられ、こうした食糧不足がさらに戦争や難民、移民問題を引き起こすという理解がされている。

逆に言えば、移民問題も戦争も、実は環境問題であり、環境問題への取り組みが移民問題や戦争をなくすことに繋がるという言説は、フランスのメディアや知識層などではある程度良く聞くものだ。

コロナウィルスの感染者はすでに数万人規模ではあるが、西アフリカで飢餓に苦しむ人の数は数千万人に達すると国連は試算している。