テレビ番組もそろそろ夏休み

投稿日時 : 2020/06/19 17:00

「トップシェフ(M6):インターネットではアドリアンの敗北に怒りの声」
テレビ番組誌「télé 7 jours」のサイトより。

フランスですでに11年目の料理をテーマにした準リアリティーショー、「Top Chef(トップ・シェフ)」が本シーズンの最終回を迎えた。【ここで「準」というのは、純粋に生配信ではなく、タイムラグがあり、編集があるからだ】

この番組は、星付きレストランでも働いていたり、すでに自分のレストランをもっているシェフも含めた実力派の料理人が、年間を通じて様々なテーマの料理チャレンジで腕を競いあい、最終的に一人の優勝者が決まるというもの。

日本では最近準リアリティショーが問題になったが、フランスでは10年以上も前から様々な準リアリティ番組がある。世界中で一時期流行ったリアリティ番組だが、日本でもそもそもそんなに人気にはならなかったが、フランスではもう定番の番組形態となっている。

これまでのシーズンでも、ほかのリアリティ番組しかり、この「トップシェフ」から有名になったシェフも多く、毎回、キャラが濃い(ように編集された)シェフが登場。なかでも視聴者に人気だったのが、最後の決勝にまで残ったアドリアンだった。

日本でもかつて「料理の鉄人」という番組があったが、この「トップシェフ」はさらに料理人にとってかなりのチャレンジだ。例えば、今回のシーズンでは、チョコレートをデザートではなく、メイン料理の素材にするチャレンジや、星付きシェフが作った料理を盲目で試食して再現するチャレンジ、廃棄するような食材を使って料理を作り、それを子どもたちが審査するなど、料理の腕はもちろん、創造力が試される。毎回作られる料理ももちろんオリジナルで、奇抜でありながらも、しっかりと三つ星レストランで提供されてもおかしくないレベルだ。

決勝は、チームを組んで、100人分のフルコースを提供するというもので、視聴者に人気で、つねに「破天荒な」料理を提供してきたアドリアンが提案したデザートは、その名も「ショコロジー」(ショコラとエコロジーの造語)で、プラスチックのコップを砂糖で再現したデザートだった。このデザートについても、もちろん賛否両論で、SNSなどでも軽くバズっている。ちなみに、このデザートの制ではないかも知れないが、アドリアンは決勝で負けた。

アドリアンのデザート「Chocologie」
民放M6の番組「 Top Chef」より。

料理好き、議論好きのフランス人がはまるのも納得の番組だ。この番組のフォーマットはアメリカで開発されたが、他のアメリカ由来のリアリティショーのなかでおそらくは最もフランス人にはまっているかもしれない。

日本でこのフォーマットのテレビが見られることはないだろうが、その前にこの番組にフランス料理で活躍する日本人シェフが登場するかもしれない。