アフターコロナの鉄道戦略は三本の矢

投稿日時 : 2021/02/02 18:00

「フランス国鉄:再起のための三つの原動力」
2月2日付けのLe Monde紙より。

SNCF(エス・エヌ・セー・エフ)こと、フランスの国鉄では、今年の夏のバカンスシーズンにむけての準備をしているという。

二度のコンフィヌモン(自宅隔離。ロックダウン)による移動制限などで、日本よりもフランスの鉄道は影響を受けている。2020年の利用者は、前年比でマイナス42%という数字があり、さらに、フランスの新幹線であるTGV(テー・ジェー・ヴェー)のこの1月の乗車率については、前年比5割から6割減だという。

とはいえ、フランス国鉄はコロナ禍が終わった後を見据え、新しい戦略を立てているという。まずは、いくら空調設備などが整えられているとはいえ、一般的には密室状態の飛行機よりも、さらには海外旅行よりも、国内での鉄道移動が選ばれるという漠然とした楽観的な見方がある。

さらに、昨年6月のフランス人の意識調査では、フランス人の三人に一人が移動手段を考える際に環境への影響を考えると答えている。こうした交通手段を選ぶ際にも、環境への影響を考えるフランス人が増えていることで、フランス国鉄も新しい車両に緑を基調とするなど、環境への配慮をアピール、TGVの運転でも下り坂では電気を節約するなどの取り組みもはじめ、2024年に導入される新車両ではCO2の排出量を1/3削減するという。

そして第二の戦略は、ビジネスでもっと使ってもらうように、ビジネスアカウントのようなシステムや、やはり会社のブランディングなどで環境に配慮した移動で鉄道を使ってもらうという戦略だ。

第三の改革は、料金制度だ。Le Monde紙の記事によると、これはまだ全容はわからないというが、これまでの変動料金制度から、より利用者にアピールできるものを検討中だという。これまでの料金変動制度は、列車の空席状況によって料金が刻々と変化するというもので、このおかげで確かに乗車率は上がっていたものの、利用者からはあまり指示されていなかった。同じ車両に乗っているのに、切符を予約購入した時期で料金が極端に変わっていたからだ。これを、利用者にもわかりやすく、指示される料金制度をこの6月までに発表して夏のバカンスシーズンに備えるという。

日本よりも厳しい状況でありながらも、厳しい状況だからこそか、積極的に新しい試みにチャレンジしているという。