フランスのイノシシ対策

投稿日時 : 2019/10/23 18:30

「イノシシ:猟師たちが解決策を模索」Le Dauphiné libéré紙のサイトより。

南仏の地方紙、Le Dauphiné libéréは、フランスの各地で最近問題になっているイノシシ被害についての記事を出した。

地域の猟師たちと地方議員などが対応策を協議中とのことだが、数日前にもトウモロコシ畑で作業中の農民がイノシシに襲われて重傷を負ったばかりだった。このイノシシによる被害は、今年に入ってから各地で報告されており、これは、乾燥が続いたために食べるものがなくなったイノシシが山や森から出てきているためという。この地域、マルサンヌでは、昨年度、イノシシ被害の補助金のために14万5千ユーロが支払われたという。フランス全体では2018年の6千万ユーロの損害額があったという。

この対策で、地元の猟友会(約80名)がボランティアで数年前から働いている。その方法は主に三つ。
1:餌やり:フランス語ではAgrainageという専門用語がある。3月から9月に約80キロのトウモロコシを、場所や時期を計算してイノシシの活動範囲に置くことで畑などにこないようにする。
2:水やり:同様に水飲み場を作る。すでに3箇所あるものを5-6箇所に増やす予定だという。
3:森の周りに7000ボルトの電気鉄線を設置予定というが、7kmを設定するのに700時間かかったという。

ドローム県では今年、イノシシの数は増加傾向にあり、約11000匹がいると試算されている。

イノシシの増加の原因には、諸説あり、この「餌やり」がうまく機能していないとか、温暖化によりイノシシが好む木の実が多くなっているとか、猟師がジビエとして価値があり、猟の対象としても好まれるイノシシの数を減らさないために、雌のイノシシを長年殺さないでいたことなど、様々な意見がある。

イノシシが増加しているという現実は誰もが認めているが、その原因は立場によって考え方が異なり、対策もまとまっていないのが現状だ。