反骨精神

投稿日時 : 2019/10/10 18:30

「Exinction Rebellion:全体集会、ヨガ、不服従…。パリでは“反乱者”が居座りを続ける」
20 Minutes誌のサイトより。

日本では、週末に日本を襲う台風で戦々恐々としているが、世界中の都市、そしてパリでは、いずれ世界にやってくる「絶滅(extinction)の時」に立ち向かおうとする運動、Extinction Rebellion(XR)が盛り上がりを見せている。

このXRは、2018年からイギリスで始まり、世界中に拡がっている運動で、非暴力的な市民の不服従を戦略としたエコロジー運動だ。今年に入ってから特にフランスでも目立つようになり、環境問題に関するデモなどはさまざまな団体がおこなっているものの、それらとは異なる形でXRは動いている。

今回の運動は、世界中の大都市で同時に行われているもので、基本的には各国の大都市で、「市民的不服従」をすることで、政府や国民に、気候変動に対する行動をうながすことにある。パリでは月曜日の午後から、まさにパリのど真ん中ともいえるPlace du Châtelet(先日、襲撃事件があったパリ警視庁、さらにはノートル・ダム大聖堂からも徒歩数分のところ)の占拠が始まった。

通常のデモとは異なり、事前の申請・許可もなく、「Rebelle(反抗者、反乱者と訳されるが、こう日本語で訳すと、違法行為をしているようなニュアンスがでてしまうが、フランス語のニュアンスでは、“既存の体制に異を唱えるもの”というくらい」たちは、SNSなどで連携をとりあい、テントなどをもちより、このパリの中心の広場に集まった。なかには、ブルターニュから小さな船を運んできたり、ソファーをもってきたり、植木を持ってきたり。あくまでも非暴力の集まりで、シュプレヒコールすらなく、ところどころで、会合を開いたり、勉強会をしたり、やってきた市民と対話をしたり、ヨガ教室を開いたり。

警察も周りにいて監視はしているが、衝突もない。市民からの協力もあり、カフェや食べ物を提供する人や、近所でシャワーを使わせてくれる人もいたりと、新しいデモの形だ。

従来のデモでは、労働組合などはもちろん、非営利のアソシエーションやグリーンピースなどでも、縦割りの組織がしきり、参加者には攻撃的な行動にうつるものもいたりするが、XRは、完全に組織はなく、全てが横に繋がっており、基本的な方針(非暴力、破壊・破損行為はしない、決断は各現場で決める、など)をメンバーが共有するだけだ。

こうした平和的な手法に共感するフランス人は多く、賛同者・参加者は増えているようだ。ただ、このやり方がどのくらい効果的に政府の政策などに影響を与えられるかは未知数だし、他の運動(ジレ・ジョーヌの運動や、若者主体の気候変動に対する運動など)との関係がどうなるかもわからないが、フランスの市民運動の新しい流れになるかもしれない。