サッカーの声

投稿日時 : 2019/10/09 15:40

「ユージェーヌ・サコマノ、サッカーの声、が亡くなる」
Le Point誌のサイトより。

昨日、10月8日のフランスでの大きなニュースの一つがこれだった。

半ば強引につなげることもないが、先日亡くなったシラク元大統領と同じように、フランス人に愛されていたパーソナリティだったのが、このサッカー解説者として知られるサコマノ氏。7日に83歳でなくなった。

2012年に74歳で亡くなったThierry Roland(ティエリー・ローラン)は、主に民放テレビ局TF1でのサッカー解説者で、特にフランスのナショナルチームの試合中継はほとんど全て彼で、時折乱暴な(正直な)言葉遣いなどが好かれていた。サコマノ氏(通称サコ)は、Europe 1, RTLなどでのラジオでのサッカー中継が始まりで、その後、ケーブルテレビなどで、土日のリーグ戦などのあと、他の解説者たちとさまざまな試合の解説をする番組(ラジオ・テレビ)もつとめていた。ケーブルテレビや地デジ以前のフランスでは、サッカー中継といえば、ラジオ放送で、80年代、90年代のフランスのサッカーファンは、ラジオ中継を聞いており、「サコ」の解説、というよりも、演劇的なパフォーマンス自体もまた楽しみであり、テレビ中継がある試合でも、音声はラジオで「サコ」の解説を聞くというファンもいたという。

これも、あえて日本の例とつなげることもないが、日本でいうと、サッカー解説の松木安太郎氏だろうか。ただ、サッカー自体がフランスでの人気は歴史があり広いし、数十倍の規模かもしれない。

サコマノ氏は、文才もあり、アラン・ドロンとJPベルモンド主演の映画「ボルサリーノ」の原作は、サコマノ氏が書いた小説であるし、作家セリーヌを敬愛していることも知られている。文学だけではなく、映画や演劇にも造詣が深いサコマノ氏のサッカー中継・解説だが、サッカーに関する知識も深く、サッカーファンだけでなく、他のスポーツジャーナリストやスポーツ選手にももちろんファンは多かった。

おそらく日本ではほとんど知られてはいないだろうが、先日86歳で亡くなったシラク氏と同じく、インターネット以前のフランスで、フランスらしいフランス人の一人だったと思われる。興味を持った方は是非Youtubeなどで声を聞いて欲しい。