大統領の「糞まみれ」発言

投稿日時 : 2022/01/05 17:30

「分析:センセーショナルで論争を呼ぶエマニュエル・マクロンの選挙戦の開始」
経済紙Les Echosのウェブサイトより。

日本でも少し取り上げられているル・パリジアン紙に掲載されたマクロン大統領のインタビュー。

フランスでもその発言が話題になり、いったん再開されていたワクチンパスの国会審議は再度紛糾して止まったくらいだ。

共同通信の日本語訳では「未接種者をぜひうんざりさせたい」とあるが、原文では「j’ai très envie de les emmerder」とあり、「うんざりさせる」という動詞は、「emmerder」。よりソフトな「embêter」よりも、かなり口語的で強い言葉で、文字通り訳すと「糞まみれにする」で、日本語ではそのくらい強いはずで、「うんざりさせる」ほどソフトではない。

フランス語でJe vous emmerdeというと、「おまえなんか糞食らえだ」とか、「おまえらのことなんか知ったこっちゃない」くらいの強い言葉で、けんか腰だ。つまり、大統領、政府としては、国民の10%のワクチン未接種者の社会生活を困らせることでワクチン接種を進めようという方針で、やはり実質的なワクチン接種義務となる。

それでフランスの国会が紛糾しているし、逆にマクロン大統領の強い決意を示しているともいえる。

このインタビューでは、大統領選挙にも言及している。いまだはっきりとは出馬表明はしていないが、再出馬することは確実で、タイミングを探っており、現在の感染症のピークが落ち着いたタイミングを見計らっているとされる。ただし、のう第一回投票まで100日を切っており、まだ正式に宣言はしていないとはいえ、現大統領の発言はすべて大統領選挙への布石としてとられるし、実際もそうだろう。

フランスでは、政治や社会の動きでは、感染症対応と大統領選挙が絡み合ってきたようだ。