ポストコロナとポスト石油

投稿日時 : 2022/01/18 17:30

「“石油ゼロ”の挑戦の数々」
1月18日付けLe Monde紙の紙面より。

日本では感染拡大が広まるものの、ワクチン接種をはじめとする対応策はもちろん、コロナ以降のビジョンも政府は示さず、新聞などのメディアでも議論もあまり見られない。

フランスの大統領選挙も、ある意味では、具体的、現実的なビジョンも提示されないままにカウントダウンだけが進んでいる。

そんな中、Le Monde紙が一面から大きく取り上げた今のフランスの議論が、石油に関するものだ。エネルギー問題、そして交通問題について特に、いかにこれから石油から脱却するかという議論だ。

Le Monde紙の論調によると:
現在までも石油エネルギーに頼り続けている人類は、ここ最近の気候変動をみても、このさき数十年で石油エネルギーからの脱却をしなければならないことは明白だという。これはフランスを始め欧米ではもはや政治レベルでも、民間のビジネスレベルでも、国民意識でも、共有されている。
すでに自動車産業は(欧米では)、脱石油に舵を切っており、これはもう既成事実で、いまごろ脱石油や電気自動車を語っている日本は一時代遅く、フランスで次に話題になってきているのが航空産業の脱石油化、航空機産業のクリーンエネルギー化(その先には宇宙産業もある)。

Le Monde紙はまた:
この転換には政府の役割が重要で、一方では気候変動を鑑みた緊急の対応をしつつ、国民の経済力(購買力)を確保しなければならないという。また、脱石油の問題は、技術の問題でもあり、経済問題でもあるが、社会問題でもあり、政治決断が必要な問題とされる。そういった意味で、政治的にも、経済的にも、「衝撃的なグリーン投資」が必要という意見もある。

Le Monde紙の記事の右頁の写真は、2020年9月に撮られたフランス北部、ダンケルクで、無名アーティストが芝を植えた廃業したガソリンスタンド。