ママとママ。

投稿日時 : 2020/07/30 17:00

「生命倫理法:全ての女性へのPMAの開放が承認」
20 Minutes紙のサイトより。

世界の中で、フランス人の意識が高いのは、環境問題に関することだけではない。労働者の権利についてもそうだし、女性の権利についてもそうだ。これらの分野で日本と比べると、日本は数十年の遅れをとっている、あるいは全く別の世界にいるように見える。

火曜の夜にフランスの国会で承認されたのが、マクロン大統領が大統領選挙で公約の一つとしていた、PMA(Procréation médicalement assistée:医療補助出産」を全ての女性に認めるというものだ。

日本語でそもそも、PMAすら、日本語版のwikipediaでもないくらいで、通例では、「生殖補助医療、技術」と訳され、「医療」や「技術」にアクセントがあるが、フランス語では、これは「Procréation:生殖・妊娠」で、それが医学的に(médicalement)補助されている(assistée)ということに過ぎない。

フランスではすでに同性婚は普通の選択肢であるし、パクス(PACS)という共同生活契約が施行されてもう20年以上。今回の全ての女性へのPMAの開放は、さらにフランスの「家族」(という言葉すら時代遅れに思われる)の定義が変わるようなことだ。

同性婚やPACSについての説明はしないが、今回のポイントは、ここ数年フランスで議論されている生命倫理法の流れで、一つのステージを越えたことになる。具体的には、女性同士のカップルでも、精子の提供を受ければ、どちらかの卵子でそれを受精させ(体外でも体内でも)、子どもを産むことができるというもの。その子どもとはもちろん親子となる。さらに、独身女性も子どもを持ち、親子になることが可能になる。

おそらくこれだけでも、日本から見れば理解できない人が多いかと思われる。さらにフランスのこの法案では、認められはしなかったものの(現状では?)、議論のポイントにあったのが、事故や病気で亡くなった、あるいは余命宣告された人の卵子を使ってのPMAと、トランスジェンダーのカップルのPMAだ。さらに、女性同士のカップルであっても、一方の女性の卵子と受精させ、受精卵をもう一方の女性の胎内に移し、二人が親権を持つようにするということも認められなかった。(というのも、女性同士のカップルの子どもの親権は、卵子を提供した一方のみとされるからだ)

さらに、この法案の審議で、カップルは「2人」であるという定義も示され、今後、3人以上の「カップル」に歯止めをかけた。

この話題、左派や女性達は歓迎する傾向だが、もちろん、右派勢力からはさまざまな批判がでている。