フランスのポスト・コロナは(やはり)緑色

投稿日時 : 2020/06/29 17:45

「緑の波、記録的棄権率、政権与党の失墜…。地方選挙の7つの教訓」
L’Obs誌のサイトより。

昨日、日曜日は市町村議会議員選挙(地方選挙)の第2回の投票だった。20時から始まった開票と速報で、テレビやラジオなどでは延々と中継や生討論。番組によっては夜遅くまで続き、本日、月曜朝も、ニュース専門局などでは分析と討論が続く。

そして新聞やオンラインメディアも総括や、議論が続いている。

日本でもこの選挙の結果は数行で紹介されるだろうが、フランスではこの話題でおそらくはあと二週間、7月14日の恒例の大統領演説まで(これ以降は政治日程的にも夏休みとなる)はこの話題が続くと思われる。

この選挙は、市町村議員の選挙ではあるが、全国で同時に行われ、全ての政党が参加、さながらその時々の国民投票のようなもので、直接的には地方政治に関する選挙だが、国全体の国民の政治的動向がわかるとされる。であるので、現在の政権への審判はもとより、次の大統領選挙への参考にもなるというくらいの重要なものだ。

画像を上げた週刊誌、Noubel Obs誌の記事では今回の選挙のポイントを7つに絞っているので、それを抜粋する。(日本のメディアではこのなか、あるいは全体をまとめて、多くても2-3くらいしか紹介していない。)

1)まずは、選挙前からの予想どおり、そしてここ数年のフランス(だけではなく、ヨーロッパ)の流れからは当然、エコロジストの躍進があった。さらに、予想以上の結果を出し、これまでは10万人以上の市町村では、グルノーブルだけがエコロジストの市長だったが、今回の選挙ではは、なんといくつもの大都市(ボルドー、ストラスブール、リヨン、トゥール、ブゾンソン、ポワティエ、アヌシーなど)でも市長がエコロジストとなった。さらには、こうした勝利には、当確とされていた政権与党を破ったところもあったほどの躍進だ。

2)記録的な棄権率:60%。
日本は「投票率」を発表するが、フランスは「棄権率」。学校の採点が日本では0からの加点方式で100点満点、フランスは20からの減点方式で、10以上が合格。この違いにいろんな考え方の違いが現れている。この棄権率は歴史的な数字だという。

3)社会党の活躍。
パリの社会党現市長も再選を決めるなど、重要拠点を守り切った。ただし、その勝利もエコロジストとの共闘であったりする。

4)市民団体の成功
左派系の勝利を導いたものの多くは、既存の社会党ではなく、地元の市民団体の働きが大きく、この傾向は強まっているという。

5)政権与党、LREMの失墜。ほぼ完敗といってもよいくらいの結果だった。

6)LR(Les Républicains:共和党、中道右派系)のずれた勝利宣言
党首は、「9000人以上の都市の半数以上はLRが勝った」と言っているが、モノは言いようで、幾つかの重要都市では負けているし、パリでも惨敗だった。

7)RN(Rassemblement Natinal:国民連合、極右政党)はペルピニャンをとったが…
1995年に党の創始者ルペン氏がトゥーロンで勝利して以来、初めての10万人以上の市での勝利。他には極小規模の市での勝利はあるものの、「前回の大統領選挙の決選投票にまで残った政党としては、かなり貧弱」な結果だという。

重要度はおおよそ、この順番通りで、しばらくはこの話題でにぎわうだろう。