学校ハラスメント

投稿日時 : 2019/11/11 18:30

「学校ハラスメントに対抗し、マクロン大統領は、“共犯”の生徒に語りかける」
仏版ハフィントンポストのサイトより。

11月7日は、フランスで、第5回の「学校ハラスメント」(Harcèlement scolaire)と闘う日だった。

フランスでも子どもたちの学校生活(小・中・高)では、生徒同士のトラブルはある。日本の「いじめ」とはまた質が違うが、それでも、罵倒や侮辱、暴力行為、ゆすり・たかり、恫喝など、時には人種差別なども加わり、日本の「いじめ」と同じく、かなりひどいものもある。

政府の統計によると、2019年には、生徒の10人に1人が「学校ハラスメント」の被害にあっており、小学校では12%、中学では10%が被害を受けたと答えているという。また、この「学校ハラスメント」は、近年のスマホとSNS(フランス語ではRéseaux sociaux)の普及による「サイバーハラスメント(ネットハラスメント)」も大きな要素となっており、中学生(スマホは学校では禁止だが、日本と同じく、中学生くらいから利用が多くなる)では18%の生徒がネットハラスメントの被害を受けたことがあるとこたえているという。

日本でも、スマホやSNSの利用による学校の「いじめ」の問題がとり挙げられることが多く、最近では、「いじめ」と言う言葉を使わず、「犯罪行為」「暴力行為」と言おうという専門家などもいるが、学校現場や一般メディアでもまだまだ「いじめ」だ。かえって、日本でも「セクハラ」、「パワハラ」、「モラハラ」など、「ハラスメント」を活用した言葉は多い。ただし、日本での「ハラスメント」という言葉の重さと、フランス語での「Harcèlement」の言葉の重さは異なり、例えば、「セクハラ」のフランス語「Harcèlement sexuel」からはたちまち、女性蔑視であるとか、男女不平等など、人権問題、性的暴力犯罪にまで拡がる問題を連想させる。

日本語の「ひきこもり」は、「腹切り-Harakiri」と同じく、フランス語でも「Hikikomori」となってしまったが、「いじめ」はさすがにフランス語になることはない。それはやはり学校内の子どもの間の問題は、万国共通で、それは「Harcèlement」の一形態だということだろう。

この「学校ハラスメントと闘う日」が5年目というのは、スマホ・SNSの影響が大きく、「学校ハラスメント」の問題が深刻化しているということで、それに真剣に取り組むということで、大統領も、まさに若者がよく使っているSNSアプリ、Snapchatで動画を投稿、2日間で60万回の再生があったという。

ちなみに5回目のこの「学校ハラスメントと闘う日」の今年のテーマは、助け合いと連帯で、「集まれば、ハラスメントに勝てる」をスローガンにして、世論に訴えている。