ギィ・ブドス

投稿日時 : 2020/05/29 17:30

「悲しみを混ぜて滑稽を演じたメランコリックな人:芸人・俳優、ギィ・ブドスが85歳で逝く」
国営ラジオ局Franceinfoのサイトより。

先日は、俳優ミシェル・ピコリの死は日本でも報じられたが、日本では全く報じられないが、フランスではミシェル・ピコリと同年代で、同じくらいにフランスの映画・演劇の世界、そしてワンマンショーを代表するギィ・ブドスが亡くなったことは大きなニュースだ。

これは28日に、自身も俳優の息子、ニコラ・ブドスがインスタグラムのアカウントで発表したもの。

映画俳優でもあるが、ユモリストといったほうがよいかもしれない。
Humoriste:日本語だと「芸人」という言葉があるが、いわゆる日本語での「芸」があるのではなく、「ユーモア」がある人のことで、その劇場でのワンマンショーは、独り芝居とはまた違って、政治や社会問題などをとりあげ、「ユーモア」をもって話すというフランス独特の文化の一つだ。日本で漫才がポピュラーな文化なのと同じくらいに、こうしたユモリストのワンマンショーは人気で、基本的には劇場での公演がメインだが、テレビ番組などでは、日本で言うところの「コメンテーター」のような立ち位置でゲストとして呼ばれることが多い。

5/29日朝のニュース番組より。

日本の「芸人」とフランスのユモリストの決定的な違いの一つは、フランスのユモリスト、とくにこのギィ・ブドスは、かなり厳しい政治的な発言、批判もし、自分の政治的な立ち位置もはっきりと表明、アソシエーションの支援もするなどしている。最近、「芸能人」がSNSですこし政治に関わる発言をしただけで大騒ぎになっていたり、「芸人」はそもそも政治的な発言などしないし、観客もそれを求めていない日本とはまったく異なる。

France Infoのサイトでの記事がギィ・ブドスがよく言っていた言葉を使っているように、「ギィ・ブドスの人生とは、“笑って、泣いて、生きて、死ぬ”というイタリア喜劇のようだった」。

Youtubeでは当然、ギィ・ブドスの動画がアップされており、INA(フランス国立視聴覚研究所:フランスの映像や音声(テレビやラジオ番組など)の全てのアーカイブを管理している)のアーカイブも一部公開されている。