デモ・ストライキと責任感

投稿日時 : 2023/02/10 17:30

「年金制度改革:マクロン大統領は組合の“責任感”に訴える」
Libération紙のウェブサイトより。

1月に年金制度改革法案が発表され、国会本会議での審議が始まったが、マクロン大統領はほとんど年金制度改革についての発言はしていない。大統領は、その立場、役割として国の進む方向を示すだけで、実際の政治は政府と首相に任せる、という立場なのだろうが、メディアはそれでも大統領の発言に注目している。

ブリュッセルのヨーロッパ議会に参加しているマクロン大統領だが、記者会見でフランス国内政治についても発言し、早速、フランスのメデイアはその発言を取り上げている。

2月7日のデモ・ストライキのあと、明日、11日(土)も大きなデモが予定されているが、組合側は予定していたストライキは行わないとした。フランスのメディアの解説などによると、これは組合側の戦略で、地域によってはまだ冬休み期間のフランスで、週末に交通デモをやっても、国民の支持が得られないばかりか、国会での審議も進まず、政府も態度を軟化する気配がない状態で、国会本会議の終盤の3月までの長期戦をふまえて戦略を練る必要があるという。

デモやストライキが大きくなることが当然予想され、組合側でもそうした案もあるという。組合側もできれば国民生活に影響がある交通系のストライキや、ガソリンや電気などのインフラ関連のストライキは避けたいが、政府に要求を通すためにはやむを得なくなってきているともいえる。

そんななか、マクロン大統領や与党系議員などは、組合側を牽制するように、「一般の国民の生活」を盾にするかのように、デモをする権利は認めるが、他のフランス人の生活を脅かすのは、国民として責任がある行為か考えて欲しいという発言をしている。

そして、次の大きなデモ・ストライキは、全ての冬休みも終わり、国会本会議も後半戦に入る3月7日だという。