フランスは文化に連帯

投稿日時 : 2020/10/30 18:00

「ゴンクール賞2020:本屋がないなら、賞もない」
L’Obs誌のサイトより。

フランスでコンフィヌモン(*)が再度始まった。11月は文学賞の発表が続く季節であったが、その中でももっとも権威があるゴンクール賞が、今年の受賞者の発表の延期を発表した。

これは、ゴンクール賞の発表は、受賞作品はもちろん、候補作品なども発表後によく売れるという本屋さんにとっては一大イベントで、ゴンクール賞だけでなく、他の文学賞も同時期にあることで、さまざまな作品や作家が注目される時期だ。これが今年は、コンフィヌモンで実店舗の本屋が営業できず、コンフィヌモンに関係のないネット店舗だけが有利になることをさけ、閉鎖せざるを得ない本屋さんへの「連帯(ソリダリテ)」を表明したことになる。

そして、この秋の文学賞の一連の発表で、さまざまな本が紹介され、それがクリスマスに贈られる本の候補になるという流れがあるが、これが、今年はどうなるか分からなくなっている。このままでは、今年のフランスのノエルは、家族でも少人数で、かつ、家族でもマスクをしてなどと、寂しいものになりそうだ。

また、書店側は、もちろんこうした「連帯」は歓迎だが、そもそも、「本」は、生活必需品と同じくらい、生活には必要だと訴えている。レストランなどの外食業界もこの2回目のコンフィヌモン、しかも秋から冬の夜長で、ジビエの時期にもなるこのタイミングでの営業停止は「致命的」なところも多く、こちらも、フランス人の生活には必要不可欠な場所だという声もあがっている。

いつになくフランスの冬は長そうだ。

*:日本語では、「ロックダウン」、「外出制限」、「外出禁止」と訳されるが、フランス語のニュアンスには、「都市封鎖」という意味のロックダウンという意味も、「外出」を制限・規制するという意味はまったくない。自宅に「こもる」という意味があり、政府や自治体などが決めるロックダウンや、制限・禁止ではなく、国民各自の、個人の行動としての「こもる」ということで、ここにもフランスの個人主義を見るのは考えすぎかも知れないが、政府や上から目線のロックダウンだとフランス人は反発するだろうが、個人の行動としての「コンフィヌモン:自宅隔離」だと、国全体の「連帯」のための個人行動として受け入れられるのかもしれない。