日本の「ガイジン」とフランスの「シノワ」

投稿日時 : 2020/11/02 18:00

イル・ドゥ・フランス:アジア人コミュニティーが人種差別投稿の標的に
ラジオ局RTLのサイトより。

フランスでは、本日、秋のバカンスが終わっての学校の再開だ。コンフィヌモン(自宅隔離)であっても今回は学校は閉鎖されない。そしてテロによって殺害された中学校教員、サミュエル・パティさんの追悼で、全ての学校で黙祷がささげられるが、この黙祷に従わない、あるいは妨害したものがいた場合は、教育委員会を通じて内務省に通達されるという。さらに各学校、各教室では、表現の自由についての授業がされるという。

イスラム教を名乗る過激派によるテロ事件や、それにともなう様々な事象がメディアを賑わすなか、この週末にフランスのメディアが取り上げているのが、「アジア人(asiatiques)」に対する誹謗中傷が、SNSから広まっているという事象だ。これは、Covid-19の感染の初期にもあったが、Covid-19を拡げたのは「中国人」で、2度目になったコンフィヌモンも、「彼らのせいだ」といういいがかりがSNS上で拡がり、現実の社会生活でもアジア人が嫌がらせを受けているという。ツイッターでは、「中国人とすれ違ったら攻撃しよう」というような書き込みが見られるという。

事態は深刻になってきており、検察庁も動き出し、SNSの監視を強化しているという。日本からみると、この対象は「中国人」で、日本人とは関係ないと思ってしまうが、フランス人(欧米人)から見れば、厳密には、中国人も、日本人も、ベトナム人も、韓国人も区別はつかない。その総称が「中国人:シノワ」だ。未だに日本を中国の一部だと思っている人もいる。メディアでは、「アジア人(asiatiques)」としているが、日常的な会話では「中国人(chinois)」ということだ。

もちろん、この現象は多くないかもしれないが、フランスにはこうした人種問題も日常的にあることがあり、メディアも普通に取り上げるくらいだ。

ある世論調査ではフランス人の7割近くがコンフィヌモンに賛同しているというが、どこかに「はけ口」が必要なのかも知れない。