コロナ疲れのフランス

投稿日時 : 2020/11/05 18:00

「再コンフィヌモン;テレワークも100のニュアンス」
11月5日付けLe Monde紙より。

日本以上に、フランスではアメリカの大統領選挙が取り上げられている。もちろん、この選挙結果が世界に与える影響を考えれば当然だが、フランス国内の先行きが見えない様々な問題からいったん目を背けているように見えなくもない。

終わりのない感染症の蔓延、それにともなう経済の停滞、テロの不安、冬の到来、そうした状況でクリスマスが迫るフランス国民の不安や憂鬱。

春のコンフィヌモンは、通常の通勤時間で5%しかなかったパリの地下鉄の乗車率も、今回の2回目のコンフィヌモンでは、なんと通常時の50%だという。9月の年度初めが70%だったというから、コンフィヌモンが徹底されていないようだ。

学校が開いていることもあるが、経済を滞らせないという政府の方針もあり、テレワークが強く求められていながらも、様々な例外(dérogation:デロガシオン)が認められていたり、実際には「抜け道」のようなものが存在しているという。大企業から中小企業まで、各現場では、すでに感染症対策は講じており、これ以上感染を防ぐ実質的な対策はとりづらく、会社側が用意した理由を明記した書類があれば働きに出られるという。

また、春のコンフィヌモンでは、国民一丸となって、「連帯(ソリダリテ:solidarité)」の精神で、協力的だったフランス国民も、この2度目のコンフィヌモンではそこまでの連帯感も生まれていないのが現状だ。これまでは毎日の感染者数の発表だったのが、ここ数日は、Covid-19による一日の死者数が大きく発表されるという状況でも、もはや春に続いていた医療従事者への毎晩20時の拍手もない。

こうなると、フランスへの光明は、フランスがきらうアメリカ現大統領が再選しないというニュース、あるいは、ワクチンの開発が決定することくらいだろうか。