春の嵐

投稿日時 : 2023/03/17 17:30

「年金制度改革:マクロンにとっては、無力の始まり」
Libération紙のウェブサイトより。

年始から始まっていたフランスの年金制度改革問題。コロナ禍以前の、「いつもの」フランスのようにデモやストライキが続いたが、昨日、国会では、年金制度改革法案は、議員による決議をとることはなく、政府は「伝家の宝刀」ともいえる憲法49条第3項を使って、法案を通した。

早速、コンコルド広場には反対派が集まり、軽い暴動騒ぎになったりした。この「49.3」はすでにボルヌ首相によって何度かつかわれており、今回の年金制度改革法案でも使うのではという話もあったが、政府もこれは使わないといっていたり、これを使うのは「最後の手段」で、最悪の場合ともされていた。

ところが、普通に決議をとっては通らないと判断したマクロン大統領とボルヌ首相は、採決なしの採択を選んだ。これで、もちろん、労働組合側なども、さらに反対運動を強化するとされており、今後どのような動きになるかが注目される。

一方、政府のほうも、ボルヌ首相はもともと首相にもあまりなりたくなかったともいわれており、タイミングをみて辞任するとされている。また、マクロン大統領も、今回の決断は、国民に受け入れられるとはおもわれず、まだ4年以上ある任期がかなり厳しくなってきたとされる。

そして、年金制度改革問題がある程度落ち着いたら、いったんリセットをするように、国会を解散するというまた別の「伝家の宝刀」が抜かれる可能性もある。

国会では、不信任動議が発動されるというが、この投票がどうなるか、そして労働組合などの反対運動がどうなるか、フランスの春は荒れた雰囲気になる可能性がでてきた。