見かけ倒しの3時間の討論

投稿日時 : 2022/04/21 17:30

「大統領選2022:エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ルペンの間の激しい決闘、多くの決めぜりふ」
20 Minutes紙のウェブサイトより。

民放TF1と国営放送France 2のほか、ラジオ局やインターネットでも生放送で放映された2022年フランス大統領選挙の決戦に進んだ二人の討論。やはり予定よりも長くなり、3時間近くにわたって討論が行われた。2017年の「リターンマッチ」ともいわれ、5年前は明らかに極右政党のルペン氏が「負け」とされたが、今回は、「引き分け」という評価が多いようだ。

もちろん、昨晩、討論が終わってから、そして今朝からもフランスのテレビやラジオ、新聞などでもこの話題が大きく取り上げられている。

ただ、3時間もあった直接対決でも、特に際立った発言や、言い争いもなく、どちらかが失敗したとか、うまく言い込めたということもなく、直後に行われた世論調査でも、マクロン現大統領が56%の支持を得たという結果もある。メディアでは、それでも、わりと激しい言い合いなどを見つけて取り上げているが、国民はわりと冷めており、「討論」というフランスの国民的スポーツとしては、別にどちらが勝ったわけでも、負けたわけでもなく、政策などについても特に新しい発言などはなく、マクロン現大統領も、ルペン氏もこれまで知られている政策を語った程度だった。

2017年には冷静さを欠いたこともあったルペン氏だが、今回はわりと落ち着いて討論をしていたと評価されるが、そこから、マクロン現大統領にとって不利になる問題について論理的な攻撃が足りなかったとされる。マッキンゼー問題や、マクロン氏が非難される上から目線の態度などについても、もっと突っ込んでもよかったとされる。

もちろん、極右政党支持からみれば、昨日の討論でマクロン現大統領は、落ち着きをなくし、攻撃的であったが、ルペン氏は落ち着いて答えていた、という見方もある。

3時間もの間、対照的な二人の政治家は様々な発言をしたが、メディアではそれらの発言や、引用した数字などに間違いがなかったかのチェックもしている。投票日の前日の土曜日は、国民が冷静に考えるために、メディアでも一切の選挙活動も選挙関連ニュースもなくなるので、選挙戦は実質的にあと二日、木曜日と金曜日だけとなった。