コロナウィルスと老人ホームと刑務所

投稿日時 : 2020/03/18 18:30

「コロナウィルス:ニコル・ベルベ法相が発表“刑務所に10万のマスクを配布”」
20 Minutes紙のサイトより。


昨日から始まったフランスの外出禁止(自粛)の話題は日本でも大きな海外ニュースとして取り上げられていた。

フランスでもこの非常事態に、様々なニュースが飛び交っている。コロナウィルスの感染状況(少なくとも公式に公開されている情報)は、日本とフランスでは異なるが、それでもメディアでのこの新型コロナウィルス関連の話題は、やはりフランスのメディアのほうが多角的な情報が得られ、根本的な問題(世界的感染に対する「戦争」)を見据えたうえで俯瞰する姿勢があるようだ。

フランスの状況から見ると、日本政府が明確な対策案を示さなかったりするのはそういうものだとして、それに対してメディアなども批判・批評をしないように見える。日本のニュースや新聞などで流れるのは、全体がみえないまま、天気予報のように流される都道府県別の感染者数・死者数の推移や、表面的な社会的・経済的影響の現象を追うばかりの話題。日本の大手メディアでは、日本社会でこの感染症の脅威に対して、政府、自治体、医療システムがどうやって対抗していこうとしているのか、しているのかが見えにくい。(ましては世界の状況はさらに見えない)

フランス人ももちろん、昨日の外出禁止前の午前中なども、スーパーに行列して、人のことを考えずにパスタやトイレットペーパーや水を買いだめしていたし、そのようなニュースもある。それでもフランスのメディアでは、いかに医療システムを飽和させないことという本質的な話題をとりあげている:医療用マスクの不足はもちろん、人工呼吸器の不足、病床の不足なども報道され、ある報道では75歳以上の重症患者にはもう人工呼吸器をつけている余裕もないという病院もあるという。薬品メーカーなどでは薬の開発に全力をつくしているとか、医療スタッフ自身がすでに肉体的にも精神的にも限界という話題も。こうした話題がフランス人に状況の深刻さを理解させているのだろう。テレビ番組で呼ばれているのも、医療関係の専門家だけで、日本のような「タレント・コメンテーター」はいない。

日本政府の大きな決定は学校(幼稚園・保育園、大学以外)の休校を決めたくらいだが、フランスでは老人ホームへの面会の禁止も早くから出ており(日本ではいまだに高齢者への取り組みが見えにくい)、火曜日からは刑務所の面会も禁止になった。そして法相は、刑務所に10万のマスクを配給する予定だと語った。

付記:昨日から始まった外出禁止、違反金は最初は38ユーロだったが、今朝からはすでに135ユーロ、最大375ユーロになるという。