フランスは宣戦布告

投稿日時 : 2020/03/17 17:00

「コロナウィルス対応で、パリジャンたちは田舎に逃げる」
L’Obs誌のサイトより。

昨晩のマクロン大統領のテレビ演説、文字通りの宣戦布告(”Nous sommes en guerre”)で、今朝の新聞の一面の多くがこの「戦争」という言葉を使っている。

本日、火曜日の12時からのConfinement(外出禁止・隔離)はまさに戦時下の規制だ。この外出禁止令の発動の他、今週末に予定されていた選挙も6月に延期(さらなる延期の可能性も)、年金制度改革や、失業保険改革も一時的に凍結、さらに法人税、社会保険料の他、電気やガス、水道、家賃などの支払いも滞納を認め、中小企業への支援も即座に打ち出し、昨日の国会で「今週中に…」とあいかわらずその場限りで責任感も信念もみえない返答しかできなかった日本の首相とは反対に、対応の早さと決断力を示したのがフランスの大統領だった。

晴天の日曜日にまったく話をきかずに外に連れ立っていたフランス人達の様子や、収まる気配のないフランスでのCOVID-19の勢いをみての、「宣戦布告」だ。

内務省のサイトでは、外出する際に必須となる、「外出証明書」もすでにダウンロード可能となっており、外出は、唯一空いている近所の食料品店に行く場合や、医療機関に行く場合、テレワークが不可能な仕事に行く場合のみ許可され、この証明書に署名したものを携帯しなければならない。違反には38ユーロの罰金で、最高135ユーロという。

昨日、大統領のテレビ演説前に、フランスではこの戦時下ではないなかでの「戒厳令」が宣言されると、パリ市民の一部は田舎への「疎開」を始めた。

TVGを使う人、自家用車を使う人、さらにはレンタカーを使う人。田舎のセカンドハウスや、地方の家族や友人宅、さらには地方の民泊や民宿、短期物件など。特にパリでは地方に向かう人が多いという。

L’Obsの記事の社会学者によると、人びとの想像で「都市は、不快な匂いや、病気や暴動の場所」で、「いにえからの貴族階級の自己防衛手段の一つ」だという。「歴史的にも、都市のブルジョワは馬で一日で行ける距離のところに家をもっており、ペストや猛暑の際に一家を避難させており」、「1939年にも、ナチスが勝った場合にそなえて、戦時を逃れるために田舎に家を買うブルジョワが多かった」という。この現象は現在もかたちをかえてフランス人の行動に表れており、パリだけではなく地方の都市部でも見られるという。

とりあえず2週間の自宅待機とされたが、「Reconductible:延長可能」という。これが「戦争」ならば、勝利が見えるまでは続くのだろう。

アメリカの対応もこうしてみると、アメリカなりの戦争時の対応に見える。日本も戦争の前はこのような状況だったのだろうか。