戦争と気候問題

投稿日時 : 2022/03/15 17:30

「大統領選:気候問題、候補者たちの境界線」
3月15日付Le Monde紙の紙面。

フランスのメディアは連日、ウクライナ情勢を伝えている。ロシアのウクライナへの「侵攻」が最も正確な表現だろうが、新聞の見出しなどは「Guerre en Ukraine(ウクライナ戦争)」となっている。

この終わりが見えない「戦争」とは違って、日程が決まっているフランスの大統領選挙はいよいよ本格的な選挙戦になりつつある。昨晩、民放TF1では、12人の候補者のうち、マクロン現大統領も含めた8名が、討論ではないが、一人ずつ、ジャーナリストの質問に答える形で生放送に登場した。討論ではなく、テーマも、「戦争に対峙するフランス」であったから、それぞれの候補者の立場はわかりきっているくらいで、見応えも、新しさもなかったというのが大体の受け入れのようだ。

Le Monde紙では、見開きで、気候問題の観点から大統領選挙を取り上げている。ざっくりと分けると、大半の左派系候補たちにとって気候問題は重要課題の一つであるが、極右系統は気候問題を極小化しており、右派系候補たちは気候問題をテクノロジーの観点(新型原子炉など)から取り上げる傾向にあるという。

世論調査では9割以上のフランス国民にとって重要課題である気候問題だが、どの候補にしても大統領に選ばれるためになるべく多くの国民の支持を集める政策を提案するのは難しいようだ。ロシアからのガスに頼れなくなり、ウクライナからの小麦やトウモロコシも当分は見込めず、小麦の増産を始めたフランス。ウクライナ情勢は、政治や経済などばかりではなく、環境問題の今後にも大きく影響しそうだ。