コロナの世界

投稿日時 : 2020/04/22 17:30

「メキシコのカルテルは、慈善者ぶっている」
4月21日付け。Le Monde紙より。

ゴールデンウィークから先の自国も見通せない日本では、世界の現状にもまったく目が向けられていない。

一方、フランスでは、外出規制の解除を始めるドイツやピークを脱し始めたイタリアなどの他のヨーロッパ諸国の話題はもちろん、アメリカの話題や、アフリカの状況、さらにはラテンアメリカ諸国の話題も折に触れて取り上げられている。(もちろんアジアにも)

これは、世界を俯瞰して、みずからの状況を客観的に把握するという、フランスの合理精神、客観的批判精神といえるだろう。

Le Monde紙が取り上げたのは、メキシコの現地特派員による、カルテル(麻薬組織)の現在の動向だ。メキシコでもCOVID-19の感染者が数千人、死者も数百人で、感染のピークは5月中旬と予想されているという。この記事によると、「メキシコ政府が感染症対策に追われる中、カルテルはやりたい放題」だといい、3月は過去20年で最も殺人事件が多かったという。

記事の写真は、メキシコの巨大カルテルの組長の娘が経営する衣料品会社の社員が、食料やマスクの配給をしているところで、このようにカルテルは、民衆の「支援活動」にとりくみ、物資の支給や、商売が厳しくなった人びとへの「融資」も行い、「恩」を売っているという。

カルテル自体の「商売」も実はあがったりで、世界中で物資の移動が停滞し、国境も閉ざされたり、供給源の中国やインドなどからの物資も止まっている。これが国内での活動の「活性化」に繋がって、殺人が増えているということだ。

COVID-19は、「平等に」地球の全ての人類に襲いかかる。マスクの問題や子どもたちの学校、さらには休業補償などはまったく重要な問題とはならない人びとも地球にはいる。