フランスの連帯精神

投稿日時 : 2020/04/21 18:00

「マイエンヌでは、行きつけのバーを援助するために、自宅隔離解除後の一杯を予約できる」
地方紙Ouest Franceのサイトより。

日本では使えるか分からない政府支給のマスクの話題と、期間も保証も不明確なまま休業する店舗という表面的な話題ばかりが目に付く。いっぽう、フランスでは外出制限解除に向けての具体的な動きが話題になっている。日本的な日和見精神からみると、フランスの連帯精神が際だって見える。

まず紹介するのは、外食産業の動きだ。これは、FRANCE BOISSONSという飲料業界協会、ビストロやバーに飲料を提供する側が始めた支援活動だ。

特設サイトから、顧客は行きつけのビストロやバー(このサイトに登録の)を選んでそこへの支援額を支払う(1.5-50ユーロ)。サイト運営側(飲料会社がスポンサー)最初の1万件にはさらに50%を加えて、該当するビストロやバーに入金。閉店中のビストロやバーはこのお金を運用資金として使え、顧客は再開したら支払った金額をビストロやバーで使えるというもの。

このサービスが始まって2週間ほど経つが、隔離解除の目処がたって(とはいえ、レストランやカフェがどうなるかは未だ不確定)、この支援活動も活気づいてきている。

「J’aime mon bistrot」(私の愛するビストロ)
https://www.jaimemonbistrot.fr/

さらに、農業でも、インターネットを介したマッチングでの支援・連帯活動が動き出している。

日本でも地方の農家が「技能実習」と称した外国人移民労働者が確保できずに困っているが、フランスでも多少事情は異なるが、フランス中での外出制限で、農業で働く人の確保が難しくなっている。さらに、フランスでは一般企業などで、多くの人が「臨時失業(chômage partiel)」となったり、完全に失業するなどして、働き口を探している。そこで農業従事者の組合が立ち上げたのが、こうした農家と求職者をつなぐマッチングサイトだ。

「Des bras pour mon assiette」(私の食卓を手助け)
https://desbraspourtonassiette.wizi.farm/

このサイトも立ちあがってからすでに数週間。こちらも最近、トンネルの出口が見えだしてきてから活発になってきているという。

「ポストコロナ」という言葉はようやく日本でも少し見かけるようにはなったが、フランスで取り上げられている「ポストコロナ」はやはりこうした「連帯(solidarité:ソリダリテ)」がキーワードになるのだろう。