黄色が黒ずむ。

投稿日時 : 2019/03/20 18:30

France 5の番組「C dans l’air」より。「ブラック・ブロックの典型的な服装:マスク、プロテクションゴーグル、パーカ、黒い服装、リュック(中にはハンマーやバールなど)

先週の土曜日、第18幕のジレ・ジョーヌのデモは、シャンゼリゼの被害が大きな話題になった。

当初は、「大討論会」が終わり、休暇をかねてスキーにいっていたマクロン大統領の雪山での写真が取り上げられたり、シャンゼリゼの高級セレブカフェ、フーケッツ(以前はフランスでも「フーケ」と発音していたと思うが、最近は英語の感化が増えたのか、「フーケッツ」と言うようだ)や、破壊されたZARAなどの店舗や、キオスクなど、「インスタばえする」とは言い過ぎかもしれないが、衝撃的な映像などが取り上げられていた。

週があけ、警察の対応なども議論されているが、各メディアが取り上げ始めたのは、「ブラック・ブロック(Black bloc:複数形はBlack blocs、間にハイフンは入らず)」と呼ばれる人たちのことだった。

先日から話題になっていてまだ施行はされていない、法律、Loi anti-casseursは、その名が示すとおり、Casseur(破壊者:casser破壊する、人)に対するもので、Pillard(略奪者、piller略奪するから)という言葉も使われる。

Casseur, Pillardは一般的な呼称で、それぞれ、破壊する・略奪する行為を行う人をさすが、ブラック・ブロックは、ある程度特定の人びとを指す。

国営ラジオFrance Cultureのサイトより。「ブラック・ブロック:その活動とは?」

歴史的な背景もあり、元々は極左、アナーキストであったりして、世界各国でみられるが、フランスにはフランス独自の特徴があり、さらには近年、とくにジレ・ジョーヌの運動が始まってからはさらに進化(?)しているという。彼らは集団であるが、特定の団体というわけでもなく、何らかの声明をだすわけでもないので、これがブラック・ブロックだというのは難しいが、単なる「過激派」などで片付けられないほど、現象は過激化、可視可されてきている。

さまざまなメディアで解説者としてよく呼ばれているのが、“Les ingouvernables ”というエッセイを出版したばかりのエリック・デルベック(Éric Delbecque)。

統治できない者たち:ユートピア主義極左から暴力的超極左まで、未知のフランスへ」

ブラック・ブロックは、ジレ・ジョーヌのような運動に寄生するようにやってきて活動するので、ジレ・ジョーヌ自体が暴力的ではない。最近の他の平和的なデモなど(高校生主体の環境に関するデモや、アルジェリアの大統領選挙に反対するデモなど)には現れなかったりする。それでも、ジレ・ジョーヌの一部にはこのような異分子を受け入れてしまうすきがあるのも事実(あるいは、警察があえてブラック・ブロックのような人たちを取り締まらずに、ジレ・ジョーヌの運動の価値を下げようとしているのではないか、というFakeNews的なうわさを信じる、最近のフランスで流行っている「陰謀信者 complosiste」もいる。

余談だが、Black blocsでの最近の流行は、K-Wayだそうだ(あえてソースは示さないが、ブラック・ブロックの一人のインタビューより)。パリで黒のK-Wayを着ると誤解されることがあるかもしれない。

[3月25日]訂正:Fouquet’sの発音だが、フランスでは常に「フーケッツ」でした。日本語で「フーケ」と表記されることが多かったので、勘違いしていました。この機会にフランスでは以前の映像が放映されることがあり、確認しました。