「もしもしコロナ」と「コロナを止めろ」

投稿日時 : 2020/04/28 17:30

「AlloCovid、電話で病人を助ける人工知能」
仏版Huffpostのサイトより。

日本では感染拡大でお役所や会社でのハンコ文化が妨げになっている(その代替案が人気ということではなく)という話題が取り上げられる中、フランスでは最新のテクノロジーで感染拡大に対抗する取り組みが実際に運用され始めている。

3月から始まったテレワークやオンライン飲み会(ようやく日本でもこの言葉と概念が輸入されてきた)もそうだが、昨日、月曜日からはいよいよ人工知能も登場した。これは電話をかけると、人工知能が対応して、一連の質問に答えていくと、すぐに救急車を呼びなさいとか、かかりつけ医に連絡しなさいとか、しばらく様子を見るようになどの指示をしてくれるというもの。人工知能なのでもちろん、24時間対応。

「StopCovid、2か月でディストピアなアイデアから国会にたどり着いたトラッキングアプリ」
Le Monde紙のサイトより。

もう一つは、アジアの一部の国で導入されていて、ヨーロッパではドイツも導入を始めるスマホアプリ、StopCovid。もともとは、本日からの国会ではこのアプリの問題が議論されるはずであったが、国会での議論は隔離解除(déonfinement)全般となった。それでもこのアプリの導入については、フランスではかなり問題となっている。

いくら個人情報は侵害しないという前提があっても、フランスはことに個人の尊重には厳しく、さらにこのアプリがGAFAの二つ、Apple(iOS)とGoogle(android)というフランスがこれまた嫌うアメリカ拠点の世界企業だということも、フランスにとっては取り入れたくない理由になっている。Covid-19への恐怖というよりは、Covid-19の感染拡大防止への有効性と、個人の尊重とアメリカ・世界企業嫌いがフランスならではの天秤にかけられているといったところだろうか。

先にあげたAlloCovidは、もちろん、フランス語のみのサービスで、純フランス製のAI、さらに個人情報は即座に破棄するとしている。トラッキングについては、フランスは独自のアプリを開発するのか、トラッキング以外の有効な感染拡大防止策を見つけるのか。

ちなみに、日本ではいまだ、というかもうおそらくは、使われない呼称「Covid」は、フランスでは一般的に使われている。そもそも「(新型)コロナウィルス」はたくさん種類があるが、Covid-19はまさに現在流行しているウィルス特有の呼称だ。