5年に一度のシナリオがないTVシリーズ

投稿日時 : 2021/12/02 17:30

「連鎖反応。候補者の動画:AFPもまたゼムール陣営に法的措置をほのめかす」
Libération紙のウェブサイトより。

火曜日にようやく、来春の大統領選挙への出馬を正式表明したエリック・ゼムール。日本でも、小さくでも取り上げられたが、フランスではもちろん、予想通り、テレビでも紙媒体でも、もちろんウェブやSNSでもそれなりに騒がれている。

なかでも、一番コメントされているのが、火曜の12時過ぎに公開を始めた動画だ。ニュース専門チャンネルなどは、生放送で、内容をチェックすることなく、Youtubeで公開された動画をそのまま、ライブで中継するなど、関心の強さを示した。

そして、動画についても様々なコメントが出ているが、大きなポイントの一つは、許可なしに様々な映像を使っていることだ。極右系統のゼムール氏が敵とみなす知識人や政治家の映像、映画などの作品からの転用などなど、全てが許可もなければ、連絡もなく使われているという。勝手に使われた人たちが訴えるなどというコメントを出しており、フランスのAFP通信も、勝手にニュース映像を使われたと、書面でゼムール陣営に抗議したという。

肝心の動画の内容については、具体的な政策提案はなく、わかりきっていた信条・信念を演出して見せているだけという見方が大半だが、正式に(とはいえ、実質的に立候補が認められるには議員からの署名が500必要だが、それが集まるかはまだわからないという見解もある)出馬表明をしたゼムール氏を巡る動きは今後の大統領選挙選の一つの大きな渦になることは間違いないだろう。

最初の集会もパリ市内のコンサートホールZenithを予定していたが、よりキャパシティが大きいところが必要だとして、ゼムール陣営はパリ郊外の別の場所にしたという話もある。

ただ、12月1日のいくつかの世論調査では、ゼムール氏の支持率はそれほど高くはなく、どのようなシナリオでも、マクロン大統領の再選が予想されている。

ゼムール氏の動向がどのくらいフランスの大統領選挙をかき回すのか、5年に一度のシナリオがないドラマが始まった。