日本はおじいさん、フランスは孫娘

投稿日時 : 2020/09/14 18:00

「カミーユ・エチエンヌ:“私たちの世代は、錯乱した存在の危機にある”」
L’Obs誌のサイトより。

日本では、おじいさん世代の人が新しい首相になろうとしているなか、フランスではその孫娘のような人の話題がある。

「フランスのグレタ」とも呼ばれる彼女、カミーユ・エチエンヌさんは、一年前はグレタさんと同じように、Jeunes pour le climet(Youth for Climate:気候のために立ちあがる若者達」の1人で、多くの若者の中の1人として様々な運動に参加していた。現在もエコロジー運動の活動家(militante écologiste)で、”On est prêt”(準備はできている)運動のスポークスマンを務める22歳の女性で、Youtubeで公開している動画「Réveillons-nous(目を覚まそう)」は本日現在3万のいいねがついて、35万回の再生がある。

8月27日、彼女はMEDEF(Mouvement des entreprises de France:フランス企業運動、と訳される。読みは“メデフ”。日本の経団連のようなものだが、経団連よりも限定された大企業のメンバーからなり、政治や経済への影響力も強い。)の毎年恒例の夏の勉強会(université d’été)に招待され、そこでの発言が話題になっている。

おそらくこれもおじいさん世代ばかりであろう日本の経団連では、このような開かれた勉強会を開くことも、そこに思想が全く違う孫娘のような人に発言させることもないだろうが、フランスのメデフは、たとえそれが「オープンにしている」というアピールであったとしても、「世代間の衝突」という公開討論を開き、それをメディアに公開している。逆にいえば、彼女の方もこのような機会を利用して自分たちの意見をアピールしている。

彼女の発言で、特に取り上げられているのが、このフランスの経済界のトップの集まりで、労働時間の問題について発言したところだ。
彼女は、「もう少し働く時間を短く(travailler moins)し、逆にもっと意味がある働き方をさぐるべきだ」と発言し、それに対し、答えたのは司会者の女性で、少し苦笑して、「あなたはいまメデフの集会にいるんですよ。だから、あまり働かない(travailler moins)というのは、そもそも問題ではないと思いますよ。」と言った。

8/27日の会場での発言シーン。

この発言が多く取り上げられ、SNSなどでも軽くバズっている。さらに、新年度が始まり、先週末からさらにCovid-19の感染増加が深刻になって、政府の対応も発表されるなか、あたらしい議論として、勤務日数を週4日にするという話がではじめている。これは感染防止はもちろん、失業者増加の抑制など、みんながあまり働かないことで、みんなが働ける社会を目指そうというもので、すでに1990年代にも失業者対策などの案としてあがっていたものだ。

この週末、フランスではジレ・ジョーヌもデモを再開した。その数は多くはなかったが、国内の一日の感染者数が1万人を越えてきた(コンフィヌモン(自宅待機)が解除された直後からは3-5千だった)フランスだが、社会生活は以前のように、だが、新しい生活を模索するかのように再開しているように見える。