フランス人が好きなパターン

投稿日時 : 2021/10/06 17:30

「Facebookの毒性:告発者は、議員に企業に規制をかけるように要請」
20 Minutes紙のウェブサイトより。

先日のFacebook, Instagram, WhatsAppの接続障害はもちろん日本でも取り上げられているが、フランスのメディアの取り上げ方はかなり違う。

そもそも、「アメリカの」「世界的大企業」というフランス人が批判的に見るテーマで、日本よりも取り上げ方が大きい。日本で言うと、中国や北朝鮮の話題の取り上げ方だろうか。

さらに、この話題で、フランスのメディアがこぞって取り上げているのが、元内部者の発言だ。これも日本では小さくしか取り上げられていないが、フランスでは、フランス人が好む「David contre Goliath」(ダビデがゴリアテに立ち向かう)というパターンだ。これは、旧約聖書の物語で、弱者が巨大なものに立ち向かうという構図で、当然、弱者が弱者であればあるほど、巨大なものが巨大であるほど、フランス人にとってはたまらない構図になる。フランス革命や、第二次世界大戦のレジスタンス、そしてデモ運動もまた、広い意味で、弱いものが強いものに戦う(そして勝つ)というフランス人が好きなパターンだ。

日本で言うと、常に時代劇やドラマの構図で人気の勧善懲悪だろうか。日本の勧善懲悪は、悪行を働くお代官さまとか、企業のトップとかだろうか。今回のFacebookについては、フランスではFacebookもInstagramもWhatsAppもよく使われているものの、企業としては好かれてはいない(コカコーラやマクドナルド、アマゾンも同様だ)。その企業の大問題で、さらにそれを暴いたのが内部の人間で、さらに若い女性というのは、フランスのメディアにとってはとてもよいテーマのようで、日本に比べるとかなり大きく取り上げられている。

そうしたフランスのメディアで、こぞって取り上げられている告発者の発言は、「Facebookは、かつてのたばこ産業のように被害を出している」という部分だ。未だにメディアでたばこ産業の広告が許されている日本からはこの発言の重要性が見えにくいが、かつて人々の健康を害し続けながらもビジネスをしていたが、いまや完全に人間の健康にとって悪であるという世界的理解があるように、Facebookもまた人間の社会生活にとっては悪であるという意味で捉えられる報告ということだ。