フランスを見る日本のメガネ

投稿日時 : 2020/09/29 17:00

「右派の過半数は安定、環境派グループ…。上院選のポイント」
L’Express誌のサイトより。

日本で小さく報道されるフランスの上院選の結果は、通信社発信の報道であれ、フランスの特派員であれ、ほぼ一様に、マクロン大統領の与党が勢力を弱めた、というかたちの報道が多いが、フランスでは、全く違う取り上げ方だ。

そもそも、大統領を支持する与党というのは、厳密にはなく、大統領になった時点で、大統領は全てのフランス国民の大統領で、もちろん出身政党はあるが、大統領は政党を超越した立場にあるもので、日本の政党はもちろん、政党内の派閥にも縛られている総理大臣とは全く違う。

もちろん、大統領の支持率、首相の支持率、与党の支持率はある程度は相乗効果があるが、絶対ではなく、大統領だけ、あるいは首相だけが支持率が上がったり下がったりする場合もある。

例えば、亡くなって1年になるジャック・シラク元大統領の場合は、現職の時、大統領自身の人気は上がったり下がったりしていたが、与党はそれとは別に安定していたりした時期もあり、さらに与党も大統領も支持率が低かったときは、首相を左派政党から選んだこともあった。

あと二年をきった次の大統領選への再出馬をねらうマクロン大統領ではあるが、今回の上院選挙は、もちろんプラスではないものの、さほど大きなことではなく、フランスのメディアも取り上げ方は、大統領や与党への影響はポイントではない。そもそもコロナ禍で、しかも上院(日本でいう参議院)の選挙で、話題自体が大きくない。そこでポイントしては、二つ。一つは右派・中道派の躍進が続いていること。もう一つは、上院にもついにエコロジー議員も10名を越え、議員グループを作れることになった。メディアによってはこのエコロジー政党の躍進を大きくとりあげている。

与党ばかり、与党を軸に政治が報じられる日本とは違って、フランスは、左か右か、そして近年はそれに「緑」(すでにこれは左派系ではなくなっている)も加わった勢力で報じられることが多い。現在のフランスでいうと、一部のヨーロッパの国などで見られる(た)極右の伸張は見られないものの、右派・中道が安定しているなか、エコロジー政党がじわじわと勢力を伸ばしているという状況だろうか。