仕事に行かない権利

投稿日時 : 2020/03/03 18:00

「コロナウィルス:ルーブル美術館の職員のように、停職権を行使できるのはどのような状況か?」20 Minutes紙のサイトより。


日曜日からルーブル美術館はコロナウィルスの影響で閉館している。これは、トップダウンではなく、ボトムアップの結果で、職員が、毎日数万人が訪れる美術館ではウィルス感染の危険が高いという理由で、「停職権(droit de retrait)」を行使したものだ。

日本では、全国一斉にトップダウンの「要請」で、学校が休みになり、働くことができなくなった人びとには政府が保証するという話題があるが、フランスでは労働法で、働く人が「自らの生活や健康をおびやかす重大な危険が迫っている」と感じる状況があれば、「停職権( droit de retraite)」、つまり働かなくてよい権利を行使でき、コロナウィルスの脅威にたいしてこの権利を行使するケースがでてきた。これはストライキをする権利(droit de grève)とは違い、制裁や賃金への影響はない。ただし、雇用者はこの権利を主張し行使できるが、雇用主はそれが政党ではないと訴えることもできる。ルーブルの職員に続き、ある都市ではバスの運転手達もこの権利を主張して働くことを拒否。

フランスでは大きなイベントなどの中止が相次いで発表されているが、いまのところ、ルーブル美術館は充分に対応していると閉館を予定していない。が、今回のように、いくらトップダウンで決めたところで、現場では、ボトムアップで、そもそも働く人(学校などでは教師や生徒)がみずから別の決断をすることは多々ある。

現在、フランスのトップダウンの決断は、コロナウィルスの危険度をステージ2にしたこと、閉鎖的な環境で5000人以上が集まるイベントの禁止(美術館などは含まれず)。フランスでも各地で次々と感染者が発表され、スーパーなどで買いだめをする人びとがいるのは日本と同じだが、メディアや政府の対応は日本のように場当たり的ではないように見える。