ネットで不正行為を暴く

投稿日時 : 2019/10/04 18:00

経済誌 Le Particulierのサイトより。「国税庁と税関は、まもなく、AirBnBやFacebook, LeBonCoinでの不正行為を監視するようになるかもしれない」

日本で消費税が10%になったが、フランスでも、国は税収入を増やすために苦労している。マクロン大統領が取り組んでいる年金制度改革もそうだが、しばし話題にされるのは、不正に正しく税金を納めていないケース。

大企業やお金持ちが住居を外国にしていることはしばしとりあげられるし、雇用契約無しの仕事などもその例で、フランスでこうした脱税行為による損失は、200-250億ユーロともいわれ、さらには1000億ユーロという資産もあるという。いずれにせよ、この税収入の損失は膨大だ。

これを改善しようとした法案が、(密かに)提案され、それを見つけたメディアなどが、注意喚起をしている。法案は、2020年に向けた財務関連法案の一項目で、それによると、国税局や税関が、試験的に3年間の間、Facebook, Twitter, InstagramなどのSNS(フランス語では、réseaux sociaux)や、AirBnBやLeBonCoin(日本でのメルカリのようなフリマアプリ)のような個人間の仲介サービスでの個人データを収集して、実際にその個人が申告している納税状況と齟齬がないかを見るという。現在の法案だと、万が一、脱税の証拠となる画像などがあれば、それは一年間保存されるが、関係のない情報などは30日以内に削除されるという。

ただ、これに警鐘を鳴らしているのが、フランスで個人情報の扱いを監視している機関、CNIL(クニル:Commission nationale de l’informatique et des libertés 情報処理及び自由に関する国家委員会)だ。この機関は、このように極めて個人的な膨大なデータを収集して分析することと、そこから脱税行為をみつけることの技術的な実現性・有効性に疑問を呈し、個人情報の扱いと保護に対する厳密な保証を求めており、さらには、こうした法案が、いわば突然提出されて、なかば緊急にこの機関も見解を発表することになったこと自体にも懸念を表明した。