進化する社会

投稿日時 : 2019/06/13 18:30

カトリック系新聞 La Croixのサイトより。
「PMA*, 親子関係の改革に政府が考える三つの軸」
PMA : Procréation médicalement assistée : 生殖補助医療。いわゆる体外受精なども含む人工授精の全てを指す。

フィリップ首相は、6月12日の国会での施政方針演説のなかで、これまでは、男女カップルにのみ認められていたPMAを全ての女性(女性カップル、そして単身女性)に認める法案を発表した。

すでに同性婚も認められており、最近では日本でもよく引き合いにだされるパリテ(男女平等)関連法も充実しているフランスでは、いわば同然の流れで、メディアでも大きく取り上げられている。

この法案は7月末に閣僚会議にかけられ、バカンス明けの9月末に議会で議論されるというスケジュールになっている。

LGBT関係のアソシエーションなどは、もちろん喜んでいるが、現段階の法案では、まだ決まっていないことも多く、警鐘をならす。

まずは、これまでの男女カップルでは保険適用されていたが、女性同士の場合でも保険が適用されるか。(その後、政府の報道官がラジオ番組で保険の適用を認めた)そして一番難しいのは、親子関係(filiation)の問題だ。

女性同士(あるいは単身)なので、精子の提供を受けることになるが、この提供者はどのような立場になるのか。将来、生まれた子どもは自分の生物学的父を知る権利を持つのか。あるいは、生物学的父が、知られることがない権利を持つのか。

また、戸籍(これも日本とは制度が違うので比較はできないが)にどう登録するか。受精前に、女性カップルは子どもを持つことを公証人(notaire)の元で宣言し、子どもを宿さない方が「共同母」のような宣言をする。あるいは、PMAをする全てのカップル(男女、女性同士)は、その旨を出生記録に明記するという案もでている。

この法案は、生命倫理(bioétique)関連法案の一部で、各メディアでは法案の細かな部分はもちろん、この法案自体が、子どもをあたかも「製品」のようにあつかっているとか、少子化(つまり税収入の減少)対策であるとか、男性カップルはどうなるのかという問題提起などもでている。