フランス語翻訳の難しさ

投稿日時 : 2019/07/07 18:00

Google画像検索の結果表示より。

最近見た映画「アマンダと僕」(原題:AMANDA)で気になった翻訳があった。

主人公の一人の少女、アマンダが、近所のパン屋(ケーキ屋ではなく)で買ってくるお菓子の翻訳が「シュークリーム」で、字幕をみて違和感があった。

実際のものは、上記の画像のパリブレスト「Paris-Brest」。確かに一般の日本人にはメジャーなお菓子ではなく、わかりやすくいえば日本の「シュークリーム」に相当するのはわかる。

しかし、そもそもフランスで、日本で言う「シュークリーム」(とその食べ方、つまりケーキ屋さんでショートケーキなどのケーキの横にあるシュー生地スイーツというステータス)はフランスには存在しない。日本で言うケーキ屋さん(パティスリー)に「シュークリーム」のようなものは売っていない。売っているのはむしろパン屋で、それもパン屋で売っている甘いお菓子という位置づけ。

という前提のもと、映画の場面では、7歳の女の子が一人で近所のパン屋い買い物に行く。そこでパンではなく、おやつとして甘いお菓子、そして定番の「パリブレスト」を選んで買うという。(日本だと、どら焼きくらいのイメージだろうか)

さらに、ポイントは、この映画では自転車も多様されていて、この「パリブレスト」の由来は同名の自転車競技から来ているので、「パリブレスト」という固有名詞は安直に「シュークリーム」と訳すべきではなかったと思う。日本で自転車を連想させるお菓子があるのなら別だが、シュークリームと自転車はなんの繋がりもない。

例え、まだ日本での知名度は低くても、映像をみれば、女の子がおいしそうに買ってきたお菓子(らしきもの)を食べているのはわかるし、それが何らかのスイーツの名前であることはわかるので「パリブレスト」としてもよかったのではないだろうか。知らない人、気になった人は「パリブレスト」で調べればよいわけで、そうして「パリブレスト」という「フランス文化」もまた広く周知されるのではないだろうか。