マクロン大統領と憲法

投稿日時 : 2023/10/31 17:30

「マップ。中絶が憲法に:世界の人工中絶の権利の状況」
地方紙Sud Ouestのウェブサイトより。

ここ数日フランスで話題になっているのが、今週、マクロン大統領が提出する憲法改正案について。

それは、フランスではIVG(Interruption volontaire de grossesse:人工妊娠中絶)と呼ばれる中絶の権利を憲法に明記するというもの。

実はすでに3月にも同様の発言をしていたが、今回は具体的に来年には憲法に明記するという。もちろん、党派によらず、女性議員などからは歓迎する発言がでているし、一般的にも好意的に受けいられている。

アメリカでも人工中絶を禁止する州もでていたり、世界規模では、完全に中絶は禁止の国もある状況で、マクロン大統領としては、フランスでは人工中絶の禁止が問題になったことはないにしても、フランスは女性の権利についてヨーロッパでも世界でも先をいっているというアピールをする狙いがあるとも言われている。

さらに、緊迫する中東情勢と、それに連動しかねないほどユダヤ人コミュニティもイスラム系・アラブ系コミュニティも大きいフランスにおいて、何かポジティブなアピールをしたかったという戦略的な要素もあるという。3月に同様の発言をしたときも、年金制度改革の議論が盛り上がっていたときだった。

さらには、フランスの大統領として、歴史に残る業績を残したいという思いもあるという。ミッテラン大統領は死刑制度の廃止、ジスカール・デスタン大統領は、中絶の非犯罪化、オランド大統領は同性も含めた結婚制度の改革、などがあるが、マクロン大統領は二度目の任期でもまだ歴史的な業績はない。