医療崩壊とはどういうことか

投稿日時 : 2020/11/24 18:00

「病院は医療従事者を求め続ける」
11月23日付けLe Monde紙の紙面より。

日本では感染者数が増える秋の連休中も、政府はみずからが打ち出した観光促進キャンペーンを、みずからは停止することはせず、メディアでの話題も、感染症に関してはその「影響」だけの話題ばかり。

かえって、コンフィヌモン中のフランス。感染状況は改善傾向にあり、予定されていた通り、12月1日には「解除」されるとされており、本日夜のマクロン大統領のTV会見で発表される予定だ。ただし、春の第一回目のコンフィヌモンの時のような「解除」としての「デコンフィヌモン」というよりは、コンフィヌモンの「緩和」というニュアンスになる方針で、クリスマス休暇までの見通しが語られるとされる。「生活必需品」以外の店舗は、早ければ今週末、あるいは12月1日とされるが、どのような条件がつくのか注目される。

第二波のピークは過ぎたとされるが、ワクチンが来月からフランスでも受けられるという可能性もあるなか、すでに来春の第三波への恐れと準備もはじまっている。

そんななか、フランスと比べれば、日本ではまったく表だって語られていないのが、医療崩壊の厳しい現実。日本では、各都道府県の重症患者病床の数とパーセンテージだけで、医療現場については、TVによく出る医療関係者の言葉だけ。フランスでは、Le Monde紙の記事にあるように、医療従事者不足がしばし問題にされる。

Covid-19患者への対応は世界中で変わらない。通常よりも特別な環境、さらに通常よりも数倍の数の人員が必要。フランスでは春以降、インターンの採用だけではなく、医学生の病院勤務も例外的に認め出したり、非常勤や臨時職員だった医療従事者などもフルに活用。それでもほぼ慢性的な人員不足で、さらには、厳しい環境で辞めていく人もいるという。

医療崩壊とは、病床がたりないとか、重症患者数だけではなく、それを支えるマンパワー不足であり、Covid-19に集中するあまり、通常の手術が、地域や病院によっては、4-7割が無期延期のようになっているという。そして前回はフランス全土で感染状況にむらがあったが、すでにフランス全土で拡がっているために、重症患者を移動することもできず、医療従事者が他の場所に援助にいくこともできないという。