AI:ヨーロッパは第三の道を探る

投稿日時 : 2020/02/20 18:00

「人工知能:ヨーロッパはしっかりとした現実の枠組みを約束する」
経済紙Les Echosのサイトより。

水曜日、欧州連合議会の委員会は、デジタル戦略(stratégie numérique)として2024年までのヨーロッパとしての方針を発表した。

これも(このブログではそもそもこのような話題を取り上げるが)、日本ではほとんど取り上げられることがない、フランスもその一員である欧州連合(EU)の話題だ。ヨーロッパ大陸の20以上の国が集まる政治経済連合であるのがEUで、グローバル化が進む現代ではその重要性がましている。一国では対応できないグローバルな問題(移民問題であったり、経済問題や環境問題など)を世界規模では「ローカル」で共に解決しようというもの。

いまだそれぞれの国がばらばらのアジア諸国では考えられないが、この連合という存在自体、そしてその考え方自体もヨーロッパで浸透してすでに数十年経つ。アジアで、日中韓だけではなく、ベトナムやインドネシア、タイなど全てのアジア圏の国から議員が出て「アジア議会」が設立されることなど2020年現在まだ想像できない。

が、ヨーロッパはすでに欧州議会があり、今回、方針を打ち出したのは、昨今急速に発達しているAIの技術について、そしてこの技術で先をいっているGAFAがあるアメリカと中国という二大巨頭に対抗した、第三の道を打ち出そうというもの。

ヨーロッパの理念に沿ったその道は、「責任感をもった(responsable)」、「信頼できる(digne de confiance)」ものであり、欧州のデジタル政策(numérique)は、欧州の価値である「自由(ouverture)、平等(équité)、多様性(diversité)、民主主義(démocratie)、信頼(confiance)」に基づいたものであるべきとした。

年内に欧州連合国内で適用される法整備をめざし、とくに、個人データの共有と保護が重要とされる。これは、裏を返して多少乱暴にいえば、GAFA(アメリカ)や5G(中国メーカーのスマホなど)が世界中に拡がるなか、欧州市民のデータを彼らに取らせず、欧州だけで管理して、欧州のデータは欧州が使うというもの。


GAFAも5Gも何の迷いもなく受け入れる日本とフランス、ヨーロッパはますます離れていくようにも見える。