失業(求職)者対策

投稿日時 : 2019/10/31 18:30

「失業保険の受給条件が厳しくなる」
カトリック系新聞La Croixのサイトより。

明日、11月1日からフランスの生活で幾つかの新制度などが始まる。マクロン大統領になってからすでに9回目となるタバコの値上げや、ガス料金の値上げ、そして、学校給食でベジタリアンメニューが週に1回は出されること(ただし完全なヴィーガンはまだ)になったほか、大きく取り上げられているのが、失業保険に関する改革。

これはマクロン政権下での大きな改革の一つで、今回は失業保険・雇用政策関連の改革の第一段階となる。この第一段階(第二段階は来年4月)では、大きく三つの点が挙げられる。

1:個人事業主(indépendants)や自己退職(démissionnaires)も、雇用保険手当の対象となる。(もちろん一定の条件を満たした場合)

2:管理職だった人への失業保険の支給額は減額。

3:失業保険受給資格の変更。

この3番目の点が大きな変更で、すでに物議を醸している。概要は、これまでの失業手当の受給資格は、28ヵ月の間に4ヵ月働いていればよかったが、これが厳しくなり、24ヵ月の間に6ヵ月働いていなければ受給資格が与えられない。しかも、これまでは、受給期間が終わっても、また1か月働いて条件を満たせば受給資格が得られたが、これもできなくなり、いったん受給期間が終わると、再度6ヵ月働かなければならなくなる。

組合やアソシエーションなどからは、もちろん、すでに、抗議の声があがっており、来年4月になると支給額の変更(もちろん減少方向)が予定されており、世論がどう反応するかまだわからない。

ちなみに、日本の場合、失業保険の受給資格は、過去2年間に12ヵ月以上働いているという条件で、受給期間も90日から最長でも330日(会社都合退職の20年以上勤務の中年世代)。フランスの場合の受給期間はなんと、原則は働いていた期間と同じだけで、最長は1095日(55歳以上)。

細かな条件などが違うので一概に比較はできないし、失業(そして仕事)に対する考え方も違うので、単にフランスの方が、失業者(求職者)に親切ということではない。一方では、有給休暇は完全に消化し、男女均等がいちおうはっきりとしているフランスと、未だに有給休暇も育児休暇すら消化せず、男女の差がありながらも大きな会社では月給の数ヶ月分というボーナスが支給される日本では、「仕事」とは何かという考え方が違う。各個人の人生における「仕事」もそうだし、国が考える国民の「仕事」もそうだ。

日本でも「働き方改革」といわれているが、フランスでもフランスなりの働き方が時代とともに変化している。