ベトラーブ:環境問題か経済問題か。

投稿日時 : 2020/08/19 18:00

「18の団体が、ベトラーブの規制緩和に反対し闘いを挑む」
業界誌 France Agricole(農業フランス)のサイトより。
「18の団体が、ベトラーブの規制緩和に反対し闘いを挑む」
業界誌 France Agricole(農業フランス)のサイトより。

ベトラーブ(Betterave:ビートとも日本では呼ばれることがある)は、フランスではポピュラーな野菜で、学校給食のサラダとしても、高級レストランの素材としても使われ、日本人でも好きになる人が多いフランスの野菜だ。

そのベトラーブの生産者に関する話題が大きくなっている。

これは、フランスの農業大臣が先日、コロナ禍の影響を受けるベトラーブ生産従事者の支援として(従事者は46000人という)、現在ヨーロッパでは原則使用が禁止されている農薬、ネオニコチノイドの規制を緩和するという方針を発表。

18の関係団体はこれに反発、昨日、連盟で農業大臣に抗議の手紙を送った。これらの団体はもちろんほとんどが環境保護系の団体で、ミツバチの大量減少の原因とされるこの殺虫剤が環境、生態系に及ぼす影響を危惧、この農薬を許可することはベトラーブ農業の支援策としては間違っていると、環境問題の視点から指摘している。

問題は農業大臣だけではなく、もちろん、環境大臣にもかかわり、新しく任命されたばかりのバルバラ・ポンピリ環境大臣は、過去の発言をとりだたされ、今の発言とは180度違うなどと揚げ足をとられている。

政府のこの方針に反対する署名運動はすでに95000の署名を集めているという。

猛暑が続く日本では環境問題はまったくと言っていいほど話題にならず、モーリシャス沖で座礁したのが日本の船であることすら小さな扱い。Covid-19の話題もかなり多くの話題が経済関連。かえってフランスは、先日も、世論調査でも経済問題よりも健康問題が重要と回答、環境問題も経済問題と同等か場合によっては優先度が高く報道され、政府もそのように対応しているようにみえる。