アイデンティティの問題なのか?

投稿日時 : 2023/07/11 17:30

「“TOP 20”の暴動参加者の名前:品性をなくしたBFM」
Libération紙のウェブサイトより。[画像はBFMTVの画面。]

フランス国家で最も重要な祭日、le 14 juilletまであと3日。日本では「パリ祭」、英語圏では「バスティーユの日(Bastille Day」とされているが、フランスではただ「7月14日」というのが一般的な呼称だ。

パリ警察などはかなりの厳戒態勢になるとされており、マクロン大統領が何をどう言うかも注目されている。

ナンテールの事件の真相もまだわからないなか、メディアで話題になっているのが、数日前の内務大臣、ダルマナン氏の発言だ。ナンテールの事件とそれに続く暴動騒ぎ、郊外の若者の問題について、移民問題とは関係ないと言いたかったようだが、暴動に参加した若者には「ケヴィンやマテオも多くいる」(いずれも「フランス人っぽい」名前)と発言したことが大きく取り上げられている。

わざわざ「移民問題とは関係ない」と言っていることがすでに移民問題だといっているようなもので、この発言は配慮がたりないなどと非難する評価もある。またダルマナン氏は、次期首相候補としても名前が挙がっている一人で、本人もその野心があるようなことも、様々なコメントの的になっている。

そして、こうした事件にはあおるような報道が多い民間ニュース専門チャンネルのBFMでは、逮捕された暴動の参加者の名前を調べて、そのトップ20を発表、確かにいろんな名前があり、先日発表されたフランス人に人気の名前とさほど変わらないなどと、Libérationのジャーナリストなどからみればニュースにもならないニュースを伝えた。

フランスでは、全く同じ学歴があっても、パリ郊外に住んでいるモハメッドとパリ市内の住むポールでは、就職の際も、職務質問の頻度も全く違うのは、名前や出自の問題だという考え方もあるが、そういう構造になっているフランス社会が問題だという考え方もある。そしてフランスではこの状況は何十年も解決されていない。