またもライシテの問題。

投稿日時 : 2023/08/29 17:30

「“ただの恥じらいの洋服”:学校でのアバヤの禁止について若者はどう考えているか」
Le Parisien紙のウェブサイトより。

新年度になって、マクロン大統領が学校について発言したのに続いて、日曜日、新しい教育大臣、ガブリエル・アタルがほぼ爆弾発言のように発表したのが、イスラム圏の女性たちが着用しており、フランスでもイスラム系の女性が着用しているアバヤを学校では禁止するというもの。

フランスでは「ライシテ」(世俗主義、非宗教性、政教分離)が公共の場、その代表として学校では特に、重要視されており、公共の場、学校では宗教は持ちこまずという原則がある。2004年からはイスラム教のスカートは禁止され、その当時も大きな議論となったし、最近では、海水浴場やプールで頭髪を隠すイスラム系の着衣が問題視されていた。

そこで、突然発表されたのが、学校でのアバヤの禁止だ。

ただし、アバヤ(アバーア)は、宗教的なものではなく、民族的・伝統的な衣装で、フランスのイスラム協会も宗教的な着衣ではないとしている。実際に、様々な色のものもあり、長袖の丈の長いワンピースで、思春期で体のラインを隠したかったり、ジーンズなどは着たくない生徒が着ていた入りするという。

ただ、そうして公には宗教的でないことを逆手にとって、あえて自分の宗教を表すために着ている(着させられている)生徒がいないわけでもないともいわれる。そして、昨年度は、フランス各地、そして自治体や特定の地域の学校では、このアバヤを着用する生徒の数がかなり多いところももあるという。

ただ、マクロン大統領の発言もそうだが、新教育大臣のこの発言も、本当の学校の問題を取り上げていないとして、教員組合や現場からは厳しい声が上がっている。そして新しい教育大臣が注目されるためにやったリスクがないコミュニケーション戦略という声も。