バカロレア2019

投稿日時 : 2019/06/17 18:00

France Infoのサイトより。「中継。バカロレア:今朝、743000の受験者が、哲学とフランス語の試験に挑む」

本日、6月17日の午前8時から、フランス全土でバカロレア(Baccalauréat。通称Bac(バック)。大学入学試験)が始まった。

受験者は743000人で、年齢は11歳から77歳まで。(フランスでは飛び級があるので低い年齢でも可能)4600の会場で、例年通り、哲学から始まった。

2021年から新しい試験制度に移行することになっており、それに反対する教員などが、先週は、バカロレアの試験監督をボイコットするなどと言っていたが、会場側が監督人員を増やすなどの対応などもあり、教員側も受験生の邪魔をするのが本意ではないこともあり、現在のところ大きな混乱もなく進んでいる。

今年の哲学の問題は下記に。

・文系受験者: 下記の三択。
«Est-il possible d’échapper au temps ?»(時間から逃れることはできるか?)
«A quoi bon expliquer une oeuvre d’art ?» (芸術作品を説明することは意味があるか?)
ヘーゲルの「Principes de la philosophie du droit (法の哲学) 」(1820)の一部を解説すること。

・社会経済受験者: 下記の三択。
«La morale est-elle la meilleure des politiques?»(モラルは、最良の政治か?)
«Le travail divise-t-il les hommes?»(労働は人びとを分割するか?)
ライプニッツの「Remarques sur la partie générale des principes de Descartes (デカルト批判)」 (1692)の一部の解説.

・科学系受験者:下記の三択。
«La pluralité des cultures fait-elle obstacle à l’unité du genre humain?»(文化の多様性は、人類の統一の妨げになるか?)
«Reconnaître ses devoirs, est-ce renoncer à sa liberté?»(自分の義務を認めることは、自分の自由をあきらめることになるか?)
フロイトの「L’avenir d’une illusion(幻想の未来)」(1927)の一部の解説。

これを4時間で、もちろん手書きで真っ白い紙を埋めるという試験だ。哲学なので、文系受験者には重要(理系の倍以上の点数配分。逆に文系は数学系のテストの配分は低い)だ。

試験は6月24日迄で、結果発表は7月5日。補欠試験は7月10日迄。これで晴れてバカンスが始まる。ちなみに去年の合格率は88.2%。