テレビ発言の自由と平等

投稿日時 : 2021/09/14 17:30

「Cnewsは、CSAの決定を受け、エリック・ゼムールを降板させる」
20 Minutes紙のウェブサイトより。

CSA(Conseil supérieur de l’audiovisuel:視聴覚高等評議会)とは、フランスのテレビとラジオの全ての調整をする独立第三者機関で、その目的はテレビやラジオでのコミュニケーションの自由と平等を守るというものだ。日本では総務省という国の機関があるが、フランスでは独立機関という形をとっている。周波数の割り当てから番組の構成など、フランスのテレビとラジオの仕組みと内容を管轄する機関といってよい。

ラジオ番組などで流れるフランスの音楽の割合を決めて、管轄するのもそうだが、選挙が始まると、各政党や政治グループの発言時間が平等であるように管理する機関でもある。このCSAが、月曜日に発表したところによると、今後はエリック・ゼムール氏のテレビでの発言時間も、大統領候補と同様にカウントするとした。これを受け、ニュース専門局Cnewsは、レギュラーコメンテーターのエリック・ゼムール氏の起用をやめると発表した。

同局は代わりに別のコメンテーターグループを起用することも発表。ゼムール氏のように大統領選出馬こそないものの、似たようなテイストの発言をするとされている。

ゼムール氏の大統領選への出馬はまだ正式には発表されていないが、同氏は『La France n’a pas dit son dernier mot(フランスはまだ降参したわけではない)』という著書をまもなく発表し、先日やはり著書が発売されるタイミングで公式出馬を表明したパリ市長のように、出馬を発表するともいわれている。それでも、議論というよりも挑発を好むゼムール氏はまた別のやり方をしてくるのではという見方もある。

そして、夜の人気番組でもあった番組を降板させられた形になったゼムール氏は、「国は自分を黙らせたかったようだが、CSAがそれを実現した」とSNSでつぶやき、他の局の番組などでも反論を繰り広げている。

自身が出馬するかどうかはともかく、フランスの大統領選2022の一つの大きな台風であることには間違いなく、一部のメディアでは同氏の著書がかつてのアメリカのトランプ氏の著書と似ていると指摘しているものもある。