フランスのウーバードライバー

投稿日時 : 2020/03/05 17:30

「司法は、ウーバーのドライバーを社員と定義し、ウーバーのビジネスモデルを覆す」
経済紙 Les Echosのサイトより。

3月4日(水)、フランスの最高裁にあたる破毀院(Cour de cassation)は、ウーバーで働くドライバーは、ウーバーが主張するような個人事業主ではなく、ウーバーに雇われている社員と同じ扱いであるとの判決を下した。

これは昨年、パリの控訴院(cours d’appel de Paris)が同様の判決を下していたのに対して、フランス・ウーバーが控訴していたもので、最高裁もウーバー側の主張を認めなかった。つまり、フランス司法にとって、ウーバーと一個人との契約は、ウーバーが主張するようなBtoBの商業活動、業務提携契約ではなく、会社と個人との労働契約であるという。つまり、ウーバーのドライバーは、ウーバーの「社員」としての権利である有給や、失業保険などはもちろん、解雇についても他の労働者と同じ権利を主張できることになる。

日本では大都市でウバーイーツが日常風景になり、ウーバータクシーも進出しているが、フランスではSNS上で、「ウーバーはオーバー(終わり): UberCestOver」というハッシュタグを使う「反ウーバー、脱ウーバー」の動きがある。

インターネット時代前から出前というサービスがなかったフランス、タクシーのシステムも日本とは違うフランスでは、日本でのウーバーとはサービス内容は同じでもその社会的ステータスは違うが、それを考慮しても、グローバルで画一的なビジネスでも、ローカルではまったく異なる問題が生じるようだ。フランスではウーバーのドライバーによるレイプ事件や、ウーバーイーツの配達員が事故に遭った場合に補償がされないなどの話題がしばし取り上げられている。今回のこの最終的な判決をうけて、フランスでのウーバー(そして同様のサービスを提供する会社)がどうするか今後の動向が注目されるという。

ちなみにこのサービス、Uber、日本では、「ウーバー」だが、フランスでは、「ユベー(ル)」と発音する場合もある。(ウバー、ユベール、ユバーなど人によってまちまち)