フランスは教育で子ども支援。だが…。

投稿日時 : 2023/01/13 17:30

「新年度から全ての小学校六年生に、1時間の補習授業」
Le Parisien紙のウェブサイトより。

昨日、フランスの文部省が発表したところによると、9月の新年度から、すべての小学校六年生にたいして、フランス語または数学の補習授業1時間が義務になるという。

これは昨今のフランスの子どもたちの国語(フランス語)や数学の学力の低下にたいするもので、それぞれの子どもの苦手な科目によって、数学の科目、またはフランス語の科目が毎週1時間補習授業となる。国語であれば、聞き取りなのか、文法なのか、綴りなのかなど。この1時間の補習授業は、技術の時間を割愛することで提供され、こうしたオンデマンド的なフランス語または数学の授業は、同じ学校(フランスでは中学)の先生、または近隣の小学校の先生が受け持つといい、学期ごとに生徒のレベルを再評価して、必要な授業に割り振るという。

これはフランスの地方都市ですでに試験的に導入されていたシステムを全国に拡大したものだが、突然の発表に現場は多少混乱しているという。フランス語や数学で多少苦手な科目がある場合は効果があるかもしれないが、より深刻な問題がある場合はこのやり方では無理だという意見もある。また、ほぼオンデマンドのようなこうした補習授業のために先生たちがどうやってやりくりするかも、現場目線ではかなり大変だという。

いまフランスで騒がれている年金制度改革とは直接的には関係はないが、大きくいえば、教師の労働条件にも関わることなので、場合によっては潜在的な教師たちの不平不満を多少は刺激する事項かもしれない。

年金制度改革の問題もそうだが、「連帯(ソリダリテ)」と「個人の自由(リベルテ)」というフランスで重要な二つのものがぶつかっているというか、バランスが難しい問題だ。年金制度改革の場合は、政府は国民の連帯や平等の精神に訴えるが、国民側は個人の年金を守ろうと対立、この学校問題も、子どもたちの将来と教師の権利が対立するような構造になっている(なってしまう)とも見える。