自宅待機第二週

投稿日時 : 2020/03/23 18:00

Libération紙の表紙「自宅待機:さらに強化」

先週のマクロン大統領の比喩を使い続けると、まさに「戦時下」のフランス。COVID-19の発生地の中国よりも感染被害が深刻になったイタリアほどではないが、フランスも戦々恐々としてむかえた自宅待機の第2週目。

Le Figaro紙のウェブサイトのトップページ(フランス時間午前8時頃)
上から:「コロナウイルス:多種の症状と時に予測不可能な悪化ケース」
「コロナウイルス:イル・ド・フランス圏の病院が大量の病人に立ち向かう」
「コロナウイルス:政府は自宅待機をさらに延長する予定」
「ユベール・ヴェドゥリーヌ〈訳注:ミッテラン元大統領の閣僚〉:“コロナイルスの衝撃は深い信念をも粉々にし始めている”」
「コロナウイルス:コルシカ島の病人は軍隊によってマルセイユに移動」


フランスのメディアではもちろん、COVID-19の話題ばかりで、そのなかでも、今朝の話題は、本日の専門家会議のあと、政府がどういう判断をするかで、メディアでは「Confinement(自宅待機)」がさらに厳しくなるか、現在3月末までとされているがさらに延長されるだろうと騒いでいる。

「自宅待機:Confinement」は、日本では「外出禁止」と訳されているが、直訳だと、「隔離する」で、「外出禁止」に相当するフランス語は「Couvre-feu」で、これも厳密には「夜間外出禁止令」。これもどちらかというと戦時下の言葉だ。すでにこの週末からフランスの幾つかの市町村では夜間の外出が完全に禁止されるこの「Couvre-feu」が発動されている。

一方で現在のConfinement(自宅待機「要請」)は、かなりグレーな部分があり、自宅の近所での食料品の買い物には出ても良いし、軽い運動やペットの散歩に出てもよいというもの。(さらに細かな条件はあるが)この週末でもまだ外に出ている市民がいたり、守らない人がおおく、政府はこれを厳しくしようとしているという。

医療システムに関しては、医療用マスクの不足、医療スタッフの不足・疲労、フランスで初の医療スタッフの死者がでたことが報道されている。だが、厳しい状況にある医療体制にたいして、自宅にあるマスクを寄付する動きや、引退した医療スタッフや、医学生を動員する法整備・体制が動き出し、自宅待機している市民達は毎晩20時にアパートの窓から一斉に応援の拍手をするという運動が拡がっている。

休校になった子どもたちには、通信教育システムのほか、今朝からは国営放送の教育チャンネルではテレビでの補習授業を開始する。

企業などでは、マスクの製造を始める会社や、アルコール飲料メーカーや香水メーカーがアルコールジェルの製造に協力したり。食料品の流通を円滑にするために、通常は休日や夜間に走行が禁止されているトラックの規制を解除したり。こうした「戦う」姿勢もあるなか、「敵前逃亡」のような「働かない権利」を訴えて働かない医療スタッフや食料品販売員などもいる。まさに「戦時下」の対応だ。

さらに、知識階級などでは、「コロナウイルスの前と後」があるとし、これが例えばエコロジー社会への転換期になるという話や、市民の一人一人が自分の生き方を見直す契機になるという話もでている。さらに、自宅待機になったことで、家族や夫婦の間でストレスが発生するとか、家庭内暴力の問題が生じるといった問題提起もでている。