1月まで閉店? フランスのレストランは生き残りをかける

投稿日時 : 2020/11/19 18:00

「お会計はとてもしょっぱい」
11/18日付けLe Parisien紙のP2-3の紙面。

朝、仕事に行く前にカフェのカウンターでエスプレッソを一杯。仕事終わりはカフェやバーでビールやアペリティフを一杯。週末には、行きつけの隠れ家的なビストロの大テーブルで多くの友だちと集まり、夜中過ぎまで数時間も語りあう。独身者はバーなどで出会いを求める。

フランスの外食産業、レストラン、カフェ、バーは、フランス人の生活様式とは切っても切れない。フランスに行く外国人も、フランスのレストランに行くこと、カフェに行くことは、それだけで「フレンチ」な体験だ。それが最も魅惑的な冬のクリスマスシーズンに完全に閉鎖されるという2020年冬。

マクロン大統領は来週半ばに再度TVで国民に語るとされ、政府内では連日、感染症の状況をみながら、今後の対策を検討しているという。はっきりとした改善を示す客観的な数字がしめされないなか、政府の対応もはっきりとしない。それでもコンフィヌモンは続き、クリスマスは近づく。

外食産業への影響は、それ自体だけではなく、外食産業に供給する農家や漁師などの影響も語られている。その反面、チーズ専門店や一部の食材店は、外食が出来なくなったかわりに家での食事を楽しもうとする人で賑わっているという。都市部のパン屋もわりと好況だという。もちろん、すべての専門店でもなく、地区によってもばらつきがあるというが、すべてが灰色ではないようだ。

また、「冬のバーベキュー」といわれるラクレットが人気で、ラクレット用のチーズはもちろん、ラクレット専用の機器もよく売れているという。ただし、家族用の4-6人用よりも、2-3人用などが売れているという。

この冬に外食産業では多くの倒産などがあるとされ、今後、フランスではほとんど皆が覚悟しているような第三波が来春にあれば、さらに大打撃とされている。それでも、外食産業では、この冬ではなく、その後を見据えた中期的な、新しい戦略を模索しているといい、来年以降、フランスでの食の楽しみ方はまったく新しいものになるかも知れない。

ちなみに、Le Parisien紙の記事の左下のオベリクス(フランスの中世のキャラクターで、古き良きフランスを象徴)の漫画のセリフは:
「がんばれ、オベリクス!この忌まわしい冒険もおわって、いつも通りのうたげ(Banquet)になるさ!」
「うたげ? つまり、レストランは再開しないのか?」

フランスの外食産業(ホテル、レストラン、バー・カフェ)
・ホテル:18600、レストラン:16800、バー・カフェ;38800。
・「夜の街」:6000(うちディスコが1200)
・国内総生産の8%。
・労働者数:100万人以上