エイズよりも怖い

投稿日時 : 2020/04/06 17:30

「サンドニの病院、医療従事者の狼狽」
2020-04-05付 Le Monde紙


日本が(ようやく)「緊急事態宣言」に踏み切ろうとしているが、フランスでは(すでに)自宅待機の解除の話題が出ている。

日本でもCOVID-19の感染者数が急激に増えるなか、日本では相変わらずほとんど取り上げられず、フランスでは常に報じられるのが、最前線の医療現場の話題だ。

引退した医療関係者、医者の資格をもつ政治家やテレビ解説者なども医療現場に戻り、インターンの学生も動員、一般の人からも不足する医療マスクの足しにと、自分がもっていたマスクの寄付もあり、毎晩20時には自宅待機している市民が医療関係者を支援する拍手を送っている。

この週末のLe Monde紙では、パリ郊外のSaint-Denisの病院の現状を紹介した。この病院では2015年11月13日の連続テロ事件の際に多くの負傷者が運ばれ、その時にいた看護師などは現在もいる。また80年代に拡がったエイズを経験した医師などもいるが、現場の医療関係者は、今回の感染症は、「エイズの初期と同じような無力感」に打ちひしがれているという。この病院では通常100-120の救急患者がいても入院は20%だが、現在は60-70%が入院するという。パリ郊外のSaint-Denisは移民世帯が多く、家族構成も大人数であるばかりか、衛生環境も恵まれず、ウイルス感染に脆弱だ。

エイズやテロの被害はそうはいっても一部の人だが、COVID-19は全ての人が被害者になり得る、とパリ郊外のこの病院の看護師は言っている。