綱渡り。

投稿日時 : 2025/02/05 17:30

「フランソワ・バイルーへの不信任決議:極右政党RNは牙を画す」
Le Parisien紙のウェブサイトより。

フランスの国会で今週審議されている予算案。先週末からは、不信任案がまたもや可決されるかもという話題もあった。

そしてバイルー首相は、自身も宣言していたとおり、憲法49.3条を使って、議会採決なしで予算案を通した。当初はこれに反発して、他の勢力が不信任案に賛成するという可能性もあった。

ところが蓋をあけてみれば、極左政党LFIが出した不信任案に、本来同じ左派連合である社会党は同調せず。さらに、議員数では最多の単独政党の極右政党RNも、不安定な政治は望まない、という立場で、(今回の)不信任案には賛成しないとした。

ただ、これでフランスの政治が安定していくということではなく、社会党や極右政党RNの思惑・戦略で、一見、混乱していないように見えるものの、フランスの政局が不安定なことはかわらない。

一部の労働組合なども、政府の予算案にはよいところはないが、最悪の事態を避けるというためだけに、やむを得ずと言う立場をとっていたりする。バイルー首相は、日本では馴染みのない政治家だが、もう数十年も、フランスの「ザ・中道」として、右でも左でもないという、悪く言えば立場をはっきりさせず、どっちつかずの立ち位置・振る舞いが売りだが、現在の状況ではそれが有利に働いているともみえる。

ところで、昨年夏の総選挙以来、この政治的混乱状態の解決のために、マクロン大統領の辞任・罷免という話題が時折のぼっていたが、最近話題になりはじめているのが、この夏に再度の総選挙があるという可能性。国会の解散は一年間たてば、再度解散することができることになっており、マクロン大統領がこのカードを切る可能性もあるのではという話だ。ただ、現段階では、あくまでも、仮定、可能性の話でしかなく、マクロン大統領がどう動くのか、昨年同様、誰も分からないようだ。